度入りスポーツゴーグルの選び方は、スポーツ競技に合ったフレームと視力補正レンズを選ぶことが重要である。例えば、スキー、スノーボード、バイク等の競技に適したスポーツメガネを選ぶこと。

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スポーツ用
 メガネU
 メガネのアマガンは
スポーツに適したゴーグルタイプのメガネをご提案いたします
今掛けておられるメガネを装用したままゴーグルを使用できます。
スキー、スノーボード、モトクロスなど視力の弱いアスリートたちへのオーバーゴーグルタイプやインナーゴーグルタイプを各人に合ったゴーグルメガネとして製作できます。
モトクロスマウンテンバイクスノーボードスキー山岳
ゴーグル ゴーグル ゴーグル
スポーティな外観はそのままに、メガネを着用したままゴーグルを使用できるタイプ

AX830−WCM

【ゴーグル左右内側寸法:125mm、上下最大内側寸法:50mm】

肌合いが柔らかく伸縮性のある生地「トリコット」をフェイスパッドに採用。従来のフェイスパッドに比べて化粧品や日焼け止めクリームがつきにくく、汚れてもお手入れが簡単です。
さらなるクリアな視界を可能にした全天候対応の偏光機能タイプ

偏光機能の視界 可視光線の中に含まれるブルーライト(400mm〜500mm)は、曇天や雪、霧、モヤの時に増加し、対象物の光を網膜より前で結像し視界がぼやけます。それによりゲレンデの状況を正確に把握することが困難になり、アクシデントの原因となります。
このゴーグルタイプのレンズは、ブルーライトをカットし、色のバランスを保ちながら自然で明るい視界を維持する機能を備えています。また晴天時には、偏光機能がゲレンデの乱反射を消し、ギラツキやまぶしさを高精度に吸収します。
  • 晴天・・・・・・・・偏光機能で雪面の反射とギラツキをカット
  • 曇り、夕方・・・・・低光量でも明るくクリアな視界
  • 雪、モヤ、悪天候・・コントラスを高め対象物がはっきりと見える

AX950−WMP
ワイドフレームで広く快適な視野を実現したモデル
  • 球面偏光ダブルレンズ
  • ポリカーボネイトレンズ
  • ツインアジャストベルト
  • センターフック
  • 撥水性ベルト

【ゴーグル左右内側寸法:135mm、上下最大内側寸法:60mm】

スタンダードなレンズモデル

AX460−ST

雪の照り返しから目を保護するためにUVカット機能が付いています。




【ゴーグル左右内側寸法:128mm】
【ゴーグル上下最大内側寸法:45mm】

ジュニア用スタンダードモデル

AX220−ST

数少ない子供用のメガネ装用可能なゴーグルタイプです。




【ゴーグル左右内側寸法:128mm】
【ゴーグル上下最大内側寸法:42mm】

度付きゴーグル インナータイプ

スキー・スノーボードをされる方でメガネを装用されている方に朗報です。
度付インナーゴーグルがあります。ゴーグルの内側に度付きレンズを入れるクリップフレームを使用する事で、多くのスキーヤー、ボーダーのお悩みを解決することができました。
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s8 普通の眼鏡をかけた上にゴーグルという状態でウインタースポーツを楽しんでいる方をよく見かけます。しかし、そんな状態で衝突されたり圧雪に顔面から突っ込んだらかけてた眼鏡とその顔は一体どうなるのでしょう?

このゴーグルは、顔には直接触れない仕組みのクリップオンで度付対応にします。これで万が一の怪我を最小限に抑える事ができるでしょう。眼鏡の上にゴーグルを掛けて転倒すると大惨事に・・・

ダブルレンズが曇り防止。簡単にレンズ交換できる上に取り外し可能なノーズプロテクターがついています。
度付き可能なモトクロス用ゴーグルです。

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<適用競技>
ゴーグルを活用するスポーツのエントリーユーザー向けに開発された廉価モデルです。
モトクロス・ラリー・エンデューロ・モトスポーツ・ジェットスキー・スノーモービル・MTBダウンヒル・ペイントボール・・・など用途は多彩です。
たとえ度付きにしたときに転倒などで顔面を衝突してもクリップオンが、顔には直接触れない仕組みになってるのでメガネを装着している時に比べダメージを最小限に抑えることができるでしょう。
メガネとゴーグルをひとつで、ふたつのスタイル

テンプルを変えるだけでサングラスからゴーグルへ瞬時にフイッチできるモデル。スポーティーな外観は、そのまま簡単に着脱できるインナーフレームを標準装備。普段、メガネを使用することでクリアな視界を手に入れることができます。もちろんインナーフレームを外した状態でも使用できます。

メガネとゴーグルをひとつで、ふたつのスタイル SG-400
  • ポリカーボネイトレンズ
  • フレキシブルラバーテンプル
  • D.P.X システム
  • エクスチェンジレンズシステム
  • インナーフレーム付き
  • フェイスパッド付き
SG-400

◇ 手作りオーダーメイド度付きゴーグル&既成インナーフレームのご紹介
■スキー、スノーボード等のご持参ゴーグルに製作できます。
近視、遠視、乱視のメガネを掛けていらっしゃる方に、大人から子供までのスキーどきの度付きスキーゴーグルインナーフレームを製作いたします。ゴーグルの内側に度入りのフレームをセットすることで、度付きゴーグルの出来上がりです。取り外しも簡単にできますので快適なスキーを楽しむことがだきます。
ご持参のゴーグルに、手作りでインナーフレームをお作りいたします。ただし、ゴーグルの形状によっては制作できない場合があります。また、大量生産のように「型」を製作せず、それぞれのゴーグルに合わせてセル板から製作するため、細部の箇所においては荒削部の部分がでる場合があります。
◇ スポーツと目 68 動体視力の主因は調節作用だろうか
鈴村は動体視力(KVA)に関して多くの研究をおこなっている。そして、動体視力には主として調整機能、なかでも浮動するような微動調節機能、さらに、動体視標に追従できる調節の能力が必要であるとしている。
動体視力計はすでに述べたように、レンズを使って、50m遠方から眼前2mまでを8.3m/sec でランドルト環を移動させるものである。したがって、動体視力計のランドルト環の移動をジオプターで表すと 50m→1/50=0.02D 2m→1/2=0.50D 0.5D−0.02D=0.48D つまり、0.48ジオプター変化する。いいかえれば、もし動体視標の接近に合わせて調節するとすれば、0.48ジオプターの調節をすればいいということになる。この調節量は大きなものではない。なぜなら、眼の前2mのものから、かりに30cmの距離にある文字にピントを合わせ灯とすると、2m→1/2=0.5D 0.3m→1/0.3=3.33D 3.33D−0.5D=2.83D 2.83ジオプターの調節が必要になり、これは50mからの2mのものに調節する場合の約6倍の調節量である。
また、動体視力計は30mの距離で判別できれば視力1.0にしているので、1.0程度の視力があれば、50mから接近したランドルト環の切れ目はおおうめ25mぐらいまで判別できる。したがって、かりに25mでわかるとすれば1/25m=0.04Diopter で、その間の調節量は0.04−0.02=0.02Diopter でよいことになる。いいかえれば、ほとんど調節の必要はないことになる。
そこで、動体視力を測定しているときの被験者が、実際にどの程度の調節をしているか、オートレフラクトメーターAR−1100を改造して調べた(両眼視)。この装置は、被験者の他覚的な調節、いいかえれば、眼の焦点がどこにあるかを、0.08秒ごとにジオプターで表すものである。同時に、被験者の瞳孔直径を30分の1秒ごとに算出した図33、写真8
被験者は2名で、Sub.Tは、Sphere値+0.47の軽い遠視、Sub.Fは、-0.33の軽い近視で、ともに視力は1.2である。Sub.Tの調節の動揺が大きいが、平均ではほとんど調節を行っていない(ジオプターの変化がない)。Sub.Fも同様である。2人とも、視標がスタートしてほぼ3秒までの間にランドルト環の切れ目がわかっている。つまり、この間、調節をまったくしていないにもかかわらず、ランドルト環は明視できているのである。
また、瞳孔が縮瞳すれば焦点深度が深くなり、フォーカスの合う範囲が深くなるので、縮瞳によって焦点深度が深まっているという可能性もある。しかし、2名の瞳孔直径は、この間、Sub.Tが最大0.29mm、Sub.Fが0.08mm縮瞳しただけであり、瞳孔との関連もないと考えられる。
わずか2名の結果であり、早急な結論は出せないが、この結果をもとにすると動体視力には調節はほとんど関与していないのではないか推測される。特殊視力として動体視力があり、動体視力のよい人、わるい人が存在すること、 トレーニングによって向上すること、日によって変動したりすることは事実であるが、はたして調節が主因となって動体視力の良否や変動が決まるのか、再検討の要があるのではなかろうか。
◇ スポーツと目 67 運動によって一時的に視力は低下し、視野は狭窄する
A視野
貧血や立ちくらみをしたとき、眼の前が一瞬ボーと暗くなる。このとき気をつけてみると(そこまで余裕はないが)、視界が暗いなかでも、視野の周辺がとくに暗くなっている。一時的に視野が狭くなっているのである。網膜は低酸素の環境をうけやすく、視力低下と視野狭窄に影響が出るとされている。
では運動中、視野は狭くなっているだろうか。図32は、視力実験と同じように、12名の大学生が自転車エrゴメーターをこいだときの視野の変化である。結果を見ると、運動中は上下、左右の視野とも狭くなっている。視力と同じく、運動負荷が強いほど視野の狭窄は大きい。運動が終わると視野は数分で元に戻っている。視力にくらべて視野の回復は早いようである。
この結果では、運動前の視野の広さを100%とすると、運動中の視野は最も強い運動で90%程度である。つまり10%ぐらいしか狭窄しないので、運動中、視野が狭くなっているといってもほとんど知覚されないと考えられる。
運動は身体の恒常性を一時的にくずすストレスの1つと考えれば、視力や視野といった視覚機能も、ストレスの強さに応じて低下するのは当然かもしれない。しかし、その影響はごくわずかである。この程度の低下であれば、それが、スポーツのパフォーマンスに影響することはないと考えてよいのではなかろうか。
◇ スポーツと目 66 運動によって一時的に視力は低下し、視野は狭窄する
@視力
古い話になるが、ロサンゼルス・オリンッピック(1984年)の女子マラソン、クリスチャンセン選手のゴールは感動的であった。彼女はその後、「あのときは、全力を使い果たし、意識は朦朧としており、大観衆の声援も私の耳には聞こえなかった」と語っていた。これほどではないにしろ、体力を使い、疲労が蓄積する運動では眼はどうなっているのだろうか。最も興味のあるのは視力である。眼はよく見えているのだろうか。
運動が終了したあと、一時的に視力がよくなったという研究と、一時的に低下するという結果があって結論は出ていないようである。第1章で述べたように、視力に影響する因子はさまざまなものがあって、ちょっとしたことで見えたり見えなかったりと、視力は非常にデリケートなものである。実験がそこをコントロールしてあるかないかで、結果が正反対ということもありうる。
写真7および図31は、厳重にコントロールした条件下で、運動によって視力はどうなるかを調べたものである。この実験は、平均の視力が約1.30である10名の大学生に15分間、自転車エルゴメーターをこがせ、途中経過と15分こいだ直後の視力、その後の30分間の視力の経過を追ったものである。運動の強さは、その人の最大酸素摂取量(体力の指標と考えてよい)の20%、50%、80%に相当する強さで自転車をこぐというものである。
この結果によると、運動直後の視力は一時的に低下しているようである。視力の低下は運動が強いほど大きい。80%の運動強度では運動前に1.30の視力が0.96ぐらいまで低下している。運動が終わると視力は30分ぐらいで元に戻っている。1.30の視力が0.96になるというと大きな低下のように感じられるが、実際には、この低下はほとんど意識されることがないほどわずかなものである。
ちなみに、50%の強さの運動では、心拍数が140〜150拍/分ぐらいになり、80%の運動では170拍/分になる。これを15分つづけるのできわめてハードであるが、多くのスポーツではこれほどハードなものは少ないし、また、運動後に視力が一時的に落ちるといっても、わずかであるから低下を実感することはほとんどないであろう。
低下の原因が何であるかを同時に調べた。
フリッカー(CFF)で覚醒レベルを調べたが、運動後、CFFは上昇しており、むしろ覚醒レベルは上昇しているようである。
・水晶体屈折が近視化していないか・・・屈折の変化はほとんどない。
・調節、微動調節など調節系の変化もほとんどなかった。
・瞳孔散大すると視力は低下する。
そこで、運動によってどの程度散大するかを新たな実験で調べた。被験者10名が最大酸素摂取量の20%、40%、60%、80%でそれぞれ10分ずつ、計40分連続して自転車をこぐ。この間の瞳孔直径の変化と視力の低下をしらべた。これによれば、運動負荷が強くなるほど瞳孔は散大したが、運動前にくらべて最大で0.06mm(直径)というわずかなものであった。この間、視力はじょじょに低下している。つまり、運動による瞳孔の散大はごくわずかであるにもかかわらず、視力は低下するので、瞳孔の散大が原因ではないことを示している。運動によって視力が一時的に低下する原因は明らかではない。
◇ スポーツと目 65 眼のケガの予防
アメリカで最もポピュラーなスポーツであるバスケットボールでも、プロの間では一部ではあるがアイプロテクターをつける選手が出はじめている。暑さ3〜6mmのポリカーボネート製で、これ自体が破損する可能性はまずないと考えられる。今後、わが国でも使用する選手がふえることが予想される。
ケガではないが、水泳やスキーなどのさいの角膜や結膜の保護も大事である。水泳のゴーグルはラインやゴール、相手の動きなどが見やすいように着用されるが、プールの水に含まれる塩素による障害をある程度防止する効果がある。北野はゴーグルの効果を調べている。ゴーグルを使用した場合には、眼痛33%、流涙20%であったのに対し、ゴーグルを使用しなかった場合では、56%のものが眼痛を訴え、眼のかすみが33%に見られたという。とくに10〜20歳代ではゴーグルの使用により結膜の充血は少なくなり、自覚症状も軽くなったという。
スキーなどではいわゆるサングラスは必需品である。長時間強い日光を浴びると、紫外線によって、「雪眼」といわれる厳しい角膜障害を起こすことがある。これは角膜表層の組織が紫外線によって破壊されるもので、発生は6〜10時間後であるとされている。
予防にはサングラスやスキーゴーグルが必要になるが、たんに色のついたレンズは予防にはならない。目的は紫外線カットなので、これらを求めるときは紫外線をほぼ完全にカットするかを確認する必要がある。
眼のケガの予防には、まず実態を調べてケガの多いスポーツには保護具を義務化しなければならないだろう。しかし、保護具によってケガが防げるスポーツや選手はほんの一部にすぎない。結局は、ルールを手直しするか、指導方法を工夫するなどの地道な努力で未然に防ぐしかないであろう。最近では、子どもが2人1組で倒立練習をしていて、相手を支えきれずに踵が眼にあたり、眼窩底骨折を起こすといった、以前には考えられなかったような事故が起きているという。このようなことが起こりうることを指導者としても知っておかなければならないだろう。
眼のケガは試合中より練習中のほうが多いといわれる。狭いグランドで多方向
からバッティングはしない。至近距離からのキックは禁止する。用具の点検をこまめにするなど細かいところに配慮することによって減らすことが可能である。
◇ スポーツと目 64 眼のケガの予防
一部のスポーツでは、眼のケガは深刻な事態である。ハンドボールでは、競技のスポード化、高度化にともなって、シュートの成功率を向上させるために、ゴールキーパーの弱点である顔面付近を狙うシュートが頻繁におこなわれるようになっているという。このため、ボールがゴールキーパーの顔面を直撃するケースが増加し、眼球損傷などによって選手生命が脅かされる事態も発生している。
この調査によれば、ケガをはじめ、顔面、頭部などに起きているが、全体の77%が眼である。眼のケガは網膜剥離、網膜出血、結膜下出血、眼底出血などで全体に後眼部に多い。損傷を与えたシュートは、サイドからのものと速攻によるものが全体の75%であり、至近距離からの直撃であることがわかる。
さて、この事態に対し、保護マスクの必要性をあげる指導者が44%、ルールでの規制を望むが35%、競技の特性上しかたがないとする意見が15%、また、顔面付近はシュートさせないという日頃の指導で、という意見が13%で、対応策に一致をみていない。調査した清水らは、ルールを設定してもルールが守られるかは、レフェリーの主観に頼らざるを得ないので、ルールよりも、顔面を保護するマスクの着用を義務化するのが望ましいとしている。
眼の保護だけを目的にしたものではないが、保護マスクが義務化されているのは野球、アイスホッケーなどいくつかある。保護マスクの義務化は効果のある対策である。
ケネーによれば、カナダではホッケーに保護マスクの着用を義務づけるとともに、スティックを腰より上にあげることを禁止した結果、1976年以来保護マスクをつけたもとでは眼のケガは一例もないという。また、近年、カナダでは若者の間でウォーゲームと呼ばれる戦争ゲームがブームであるという。戦闘服を着てガス銃を撃つ本格的なもので、ガス銃は服の上からでも身体に損傷を与える威力のあるものである。これが眼にあたる重大なケガが多く発生したため、この遊びには眼を保護するプロテクターの着用が義務づけられたという。この他、ラケットボールや、スカッシュなどでは保護装具(アイガード)をつけなくてはならない。
◇ スポーツと目 64 スポーツによる眼の外傷の実態
■不注意による事故、指導方法や練習方法の誤り、あるいはスポーツ用具の欠陥などのさまざまな原因でケガは起こる。スポーツにケガはつきものとはいうものの、妨げるものであれば少しでも妨げたい。
B原因
表10は、1986年に日本体育・学校健康センターに提出された重傷例を原因別でみたものである。
これによれば、ボールによるものが全体の72%、身体によるもの12%、メガネ3%、バット3%である。また、先の1995〜88年の325例も、このうち75%がボールによるものである。サッカーによる眼のケガの大部分は、至近距離からキックしたボールが直接眼球を直撃したもので、野球でも大部分がボールによる直撃である。
◇ スポーツと目 63 スポーツによる眼の外傷の実態
■不注意による事故、指導方法や練習方法の誤り、あるいはスポーツ用具の欠陥などのさまざまな原因でケガは起こる。スポーツにケガはつきものとはいうものの、妨げるものであれば少しでも妨げたい。
Aスポーツの種類
スポーツの眼のケガの実態については、木村がくわしく報告している。これによれば、スポーツによる眼のケガの発生年齢は20代が最も多く、全体の約40%である。また、ほぼ90%近くを10〜30歳代で占めている。性別では男性がほぼ80%である。
図30は、スポーツ種目別の眼外傷数である。野球によるものが約42%、テニス15%、サッカー11%の順で、この三つが眼のケガの御三家である。もっとも、スポーツ人口が多いほどケガの発生率数も高くなるので、年間延べスポーツ人口に対する割合で比較すると、述べ人口1,000万人に対する発生頻度は、サッカー21.0人、ラグビー21.0人、野球11.7人、テニス6.6人となり、最も危険率の高いのはサッカーとラグビーで、野球の1.8倍、テニスの3倍の危険率になるという。
図表7は、眼のケガの多い野球、テニス、サッカーについて所見頻度別に見たものがある。いずrもケガのトップは、外傷性虹彩炎である。木村によれば、サッカーは野球、テニスと比較して、網膜振盪症、網膜出血、硝子体出血という後眼部のケガの頻度が高いのが特徴であるという。
また、図表8は、1980年6月から1084年12月までに昭和大学医学部の眼科を受診したスポーツによる眼外傷のうち、ボールゲームによるケガの種類である。これによっても野球、サッカー、テニスにケガの発生が多く、とくにサッカーに後眼部のケガが多いことがわかる。
スポーツ種目によるうちわけでは、サッカーが約37%、野球が36%で、この2つの種目で全体の73%を占めている(表9)。学校におけるスポーツによる重篤な眼のケガの4分の3は、サッカーと野球で発生していることになる。
◇ スポーツと目 62 スポーツによる眼の外傷の実態
■不注意による事故、指導方法や練習方法の誤り、あるいはスポーツ用具の欠陥などのさまざまな原因でケガは起こる。スポーツにケガはつきものとはいうものの、妨げるものであれば少しでも妨げたい。
@眼のケガの割合
スポーツの眼の外傷(以下、ケガとする)も例外ではない。どのような眼のケガが起きるであろうか。1990年3月に報告されたスポーツ安全協会の「スポーツ等活動中の傷害調査」によれば、1987年(昭和62)年度に同協会の傷害保険の対象になったのは66,770件である。このうち、眼のケガは全体の1.7%であり、スポーツ障害のなかでは少ないことがわかる。この割合は調査以来、大きく変わっていない。ちなみに部位で最も多いのが手指部で20.6%、ついで足関節14.0%、膝10.9%で、この3つでケガの半数近くを占めている。なお、眼、口、鼻、歯などの顔部のなかでは、眼のケガがもっとも多い。
◇ スポーツと目 61 錯視とは
B高さの感覚
水平・垂直の異方向という錯視がある。縦の線、横の線とも同じ長さであっても、横より縦の線が長く見える現象である。
三次元空間でも同じである。たとえば、棒高跳の1つの壁である6mというバーの高さは、下から眺めると非常に高く感じられる。ところが、同じ長さでも6mを水平にした場合、たとえばバレーボールコートのエンドラインとアタックラインの幅の6mはそれほど長いとは感じられない。このように、われわれは水平よりも垂直方向を過大視する傾向がある。このため高さの誤差は、水平方向の誤差よりもはるかに大きい。
高さの錯視がパフォーマンスに影響するものとして、走り高跳びのバーの長さを長くしたり、短くすることによってパフォーマンスに正負の効果が生じるという研究結果がある。これは、バーの長さを変える、あるいは支柱上端からバー止めまでの長さを変えることによって、バーの高さに錯視が生じるかを調べたものである。
これによれば、3.2mと短くしたほうが、高さを高く感じ、逆に4.8mと長くしたほうが低く感じるという「高さの錯視」が生じたという。さらに、同じ1.8mの高さでも、支柱上端からバー止めまでの長さを40cmにするより、70cmのほうが低く感じられ、これを10cmにすると逆に高く感じられるという錯視も起こったとしている。
そして、このような「高さの錯視」がパフォーマンスに影響するかどうかを調べている。バーの長さを4mから3.2mと短くすると、飛びにくく感じ、パフォーマンスが低下する負の効果を生じ、逆に4.8mと長くすると、跳びやすく感じ、パフォーマンスがよくなる正の効果を生じたという。さらに、支柱の上端からバー止めまでの長さを変えることパフォーマンスに影響するという。この場合、40cmにするより、70cmと長くしたほうが高いパフォーマンスを示している。
走り高跳びでは高さの錯視が生じており、高さの錯視はパフォーマンスに影響しているようである。スランプのときの対策、高さに対して恐怖心をもっている子供たちの指導に生かせる研究として注目される。
◇ スポーツと目 60 錯視とは
A距離の感覚
三次元空間の異方向性の1つとして、同じ距離であっても、水平方向より高い位置にあるものは遠くに感じられ、下にあるものは近くに感じられる現象がある。
ゴルフのように正確な距離感が必要なスポーツでは、グリーンが目線より下にあるか、上にあるかで感じ方は違ってくる。また、距離感はその日の天候によっても違って感じられる。晴れて見通しのいい日はグリーンまでは近くに、霧や雨の日には遠くに感じられる。さらに、狭い、広い、途中に木があるといった地形や、その日の体調によっても違ってくる。一般に体調がいいときには、対象までの距離を近くに感じ、高さを低く感じる傾向がある。ゴルフのように、距離感が重要になるスポーツではさまざまなものが距離の感覚に影響して、しばしばクラブの選択を誤らせる原因となっている。
◇ スポーツと目 59 錯視とは
@速度の感覚
速度の感覚には、まわりのものが動くときの速度と自分が動くときの速度の2つにおおきくわけられる。
●対象が動くとき
@図28のように、ボールが眼の前を横切ろうとする。このとき、頭を固定して眼で追う、あるいは、首を振ってボールを追う場合(A)に対して、Bのように眼を一点に固定し、ボールの像が網膜上を横切るようにした場合のほうが、同じ速度であってもぼーるは速く感じられる。つまり、中心視と周辺視では速度が違って感じられるわけである。この速度比は1.6〜1.7倍とされている。
具体例は、テニスのラリーをサイドライン側から観戦するとき、ネットの一点に眼をすえてボールのスピードを感じる場合と、ボールを眼で追う場合では明らかにスピードが違って感じられることである。それにしてもボールを追視しない場合には、速度が1.6〜1.7倍速く感じられるので、正確なボールのスピードをつかむためにも、ボールを眼(中心視)でとらえて追視することが大事である。
A明るさ
明るい場所よりも暗いところのほうがボールのスピードは速く感じられる。薄暮れや夜間照明下のテニスや野球では、明るいときよりボールが速く感じられることをよく経験する。
かつて巨人の江川選手が現役のころ、昼間の試合でノックアウトをくらう「デーゲーム病気」が話題になったことがあった。バッターからみれば、ナイトゲームでの江川選手の球は実際のスピード以上に速く感じられるわけである。ところが、白日の下では、ナイトゲームにくらべてスピードが遅く感じられるので「昼間は球が走らない。江川恐れるにたらず」とおもえたかもしれない。くわえて、江川選手自身も、デーゲームが本来のスピードであったのに、夜にくらべてデーゲームは球が走らないと思っていたとしたら、「デーゲーム病」は意外なことに錯覚だった、ということもないではない。

B空間
空間の広さによってボールのスピードは違って感覚される。一般に狭いところでは速く、広いところでは遅く感じられる。日頃の練習は狭い体育館であったが、本番の試合が天井が高く、広い体育館だったりすると、ボールの速度が日頃より遅く感じられることがる。

●自身が動くとき
一般にランニングをするとき感じられる速度は、昼よりも夜のほうが速めに感じられる現象がある。自動車の運転でも、同じ速度ならば夜のほおうが速く感じられるのと同じ現象である。
工藤らは、夜のほうがランニング速度を速く感じる現象を調べている。暗いと主として遠景が失われ、速度をより感じやすい近景が強調されるために、夜は速めにかんじるのではないかというストーンの考えを検証している。工藤らは、視野に関係しているのではないかと考え、視野の大きさを制限するマスクをかけて実験している。その結果、
・昼よりも夜のランニングのほうがペースを速く感じるが、その原因の1つに視野の明るさがある
・夜の暗さによって制限される視野の広さが、速度感覚のおもな原因ではないか。
としている。つまり、暗いと遠景が失われ、近景が強調されるため速度を速く感じるというよりも、夜は周囲が暗いから視野が狭くなったような状態になる。このような状況が、速度を速く感じさせる原因の1つではないかというものである。
◇ スポーツと目 58 錯視とは
対象を近くするとき、近くが客観的な事実と一致しない、誰にでもおこる現象を錯覚という。錯覚は幻覚と違って健常人の現象である。錯覚はあらゆる知覚に生じるが、視覚上の錯覚をとくに錯視と呼んでいる。
視覚を「正確な視覚」と「錯視」にわけ、錯視を誤った視覚とするのは正しくない。なぜなら、環境の物理的な事象をありのままに知覚することを「正確な視覚」とするならば、あらゆる現象を錯視に入れなければならいほど視覚現象は複雑だからである。たとえば、室内の明るさに順応したあと、外に出て、屋外の明るい陽差しに慣れたとする。ふたたび部屋にもどったとき、室の明るさは同じであっても暗く感じるのは、眼が物理的な刺激を受けいれるさいにすでに誤りをおかしているのである。つまり、人は環境の物理的な事象を客観的に知覚しているわけではない。その意味で、視覚を「正確な視覚」と「錯視」にわけることはできない。錯視は人の知覚する視覚現象の一つである。
錯視の起こる理由は複雑で、ほとんどわかっていないようである。錯視としてあまりにもポピュラーな「月の錯視」でも、なぜおこるのかいまだに不明で、解明は21世紀に持ち越されるだろうといわれる。
スポーツでもさまざまな錯視があり、あるときは錯視がもとで思わぬミスを犯すこともある。スポーツでとくに重要な、そして、しばしば体験する現象は、速度、。距離、高さの感覚である。
◇ スポーツと目 57 周辺視での色知覚
ボールゲームのように、視野全体に注意を向けて、周辺視で敵、味方の判別をするような場合には、周辺視野での色の知覚は大事である。最も広い範囲で判別できるのは白である。次に青、黄の視野が広い。緑は最も狭く、青、黄の広さの約2分の1である。また、赤は緑と青の中間の視野の広さがある。
したがって、白のユニフォームが最も広い範囲で知覚できるので、味方を判別するには白のユニフォームが有利ということになる。逆に、緑のユニフォームは不利な色となる。以上は、静止している視標色を周辺視で知覚する場合である。スポーツでは周辺を動くものの色の近くのほうが実用性が高いであろう。
スキーウェアの色はファッション性を重視したものとなっているが、近ごろのスキー場では、スキーヤー同士の衝突が日常茶飯事で、衝突してはじめた相手に気づくこともめずらしっくない、したがって、発見しやすい色、されやすい色という安全色の観点も大事である。
そこで、周辺視では度付きの色の視認性が高いか、いいかえればどの色の発見が早く、どの色が遅れているのかについて、筆者がカラーシュミレーションをおこなった。用いた色は、赤、黄、緑、青、紫、黄緑、赤紫と、無彩色の灰色と黒である。その結果、雪面しやすさの違いはほとんどない。しかし、スピードがあがるにつれ、発見しにくくなるのは黄、水色、赤紫である。赤、緑、青、紫は見つけやすい色である。最も視認性が高いのは黒である。黒はスキー場では発見しやすい色ということになる。
白を背景にしたとき黄、水色、赤紫が発見しにくいのは、背景の白よりも明度が高い、つまり、コントラストは低いからである。逆に黒や青、赤などは明度が低いのでコントラストが高くなるからである。周辺視での色は中心視によるものと違っていて、白色の成分を多く知覚して、全体に白みがかって知覚されるので、周辺視では背景が白の場合には、中心視よりも、なおいっそうおコントラストが高いほど視認性がいいということになる。
安全ということを考慮した場合スキーウェアは赤、緑、青、紫、黒ということになる。この他、スキー場でガスが濃くなって、周囲が見えにくくなったときでも、赤、紫などは遠くでも見つけられる色である。総合的にみて、赤、紫などはスキーウェアとしての安全色ということになろう。
◇ スポーツと目 56 色とスポーツパフォーマンス
色が違えばパフォーマンスも違う。色のもつさまざまな特性からみれば無関係ではない。
山田らの研究をみると、タイミングを合わせるという、スポーツにとって基本的なことも色の影響をうけていることがわかる。山田らの実験は、あらかじめ設定してあるタイミング店に、動いてくる視線が一致したときにあわせて反応させる(keyを押す)もので、このとき、動く視標と背景の色をさまざまに変え、色とタイミングの関係を調べようというものである。これによれば、動体視標と背景のいずれか一方が有彩色の場合には、速度が遅いときでは、長波長で彩度が高い色の場合にタイミングが合いやすいが、速いときには視標と背景との明度の対比が大きいほどタイミングが合いやすいという。また、視標と背景とも無彩色のときには両者の明度対比が高いときにタイミングが合いやすく、低いと合いにくい傾向があるという。このように、タイミングも色の影響を受けているが、決して単純な関係ではなく、動くものと背景との間の波長、対比、速度などが複雑にからんでいることがわかる。
さて、カラー化の波は陸上競技も例外ではない。色についてのルールがほとんどないこともあって、メーカーが独自に用具に色をつけている。投てき競技では、円盤が青や黒に、砲丸やハンマーにも赤、橙、黄色が登場している。陸上競技のカラー化も美しく見たい、見せたいというニーズいよるが、円盤、ハンマー、砲丸などを軽く感じられる色にすることによって、少しでもそれらが「軽い」という印象が生じれば、あるいはスランプのときとか、初心者の場合などでは記録の向上が望めるかもしれない。パフォーマンスの向上のために積極的に投てき物に色をつける試みをしてもいいのではなかろうか。
はたして、色によってパフォーマンスが影響されるかどうか、このような研究はほとんどないなかで、筑波大学の古藤研究室はスポーツと色について意欲的にとりくんでいる。いくつかの研究を紹介する。

@ハードル
ハードルに色を変えたら記録がよくなったという研究は興味深い。この試みは白と黒の従来のしま模様のハードルの横木の色を変えてみようというユニークなものである。白、黒を基調にした従来のハードルに対し、赤、黄、黄緑、橙、緑の6っつのいろにハードルを色分けして小学、4、5、6年生の男女の記録を測った。その結果、一部の例外はあったものの、男女とも従来のしま模様のハードルよりもカラー化したハードルの方が記録がよく、とくに黄、黄緑、橙色がよかったという。
白と黒の硬いイメージの配合に対し、重さの系列からは軽く感じられ、明るさの系列からは軟らかく、温かく感じられる黄、黄緑、橙色が子ども達の恐怖心をやわらげ、強度近視メガネロックが向上したのではないかとしている。学年別にみると、小学4、5年生では白黒ハードルよりカラーハードルのほうがおおむねよかったが、6年生の男子ではカラーハードルの強度近視メガネロックが従来のハードルよりもいずれも下回った。これは、すでに白黒のハードルに対する慣れがつくられ、色のついたハードルに対応できなかったのではと推測している。

A野球
<バッター>
ボールの色が打者や投手の認知に影響するかを調べた研究も面白い。ピッチングマシーンを使って、それぞれ白、黄、青、緑、黒にしたボールがホームベース上のどの部分を通過したかを答えさせるもので、打者から見て、どの色のボールがコースの認知が容易かをみようというものである。結果は、大学野球選手も一般学生も共通して黄色のボールが最も認知しやすいというものであった。最も分かったのは、野球選手では緑のボール、一般学生では白いボールであった。
また、どのコースでも黄色は実際の高さより低めに見え、白、青は実際よりも高めに見える傾向があるという。野球では選手眼が重視されるが、どこのチームも、土にまみれてうす茶色になったボールでバッティング練習するのが実際である。選手眼を賛成するならば、積極的にボールを黄色にしてみるのも一つの方法であろう。
<ピッチャー>
さらに、投手の制球力がキャッチャーのプロテクターとミットの色によってどのように変わるかも調べている。プロテクターとストライクゾーンの大きさとして、70cm×43.2cmの長方形の板をおき、その中心に半径10cmの円をかき、これを的にしている。バックの色は赤、青、黄、茶色の4色である。バックと的の色のそれぞれ21の組み合わせのなかで、最高得点だったのは、バックが黄色で的が青の組み合わせ、この逆に、最もわるかったのは赤のバックに茶色の組み合わせであったという。赤のプロテクターに茶色のミットはプロ野球でもめずらしくないが、この結果からみると、ピッチャーには的が絞りにくいようである。
全体的にみて、バックが青ー的が黄、バックが緑ー的が赤、バックが黄ー的が青という補色の組み合わせはいずれも平均得点をうわまっており。補色関係がコントロールしやすいことを明らかにしている。なお、バックが青ー的が黄色の組み合わせは、黄色は暖色系のなかでも一番の膨張色、逆に青は収縮色なので、膨張色のなかに収縮色を配合することが最も得点が高い理由ではないかとしている。
先のハードルの実験では色が与える硬い、軟らかいという無意識のイメージが、また、野球では視認性がパフォーマンスに影響することを明らかにしたものである。日頃、何気なく、あるいは当然のこととして使っているスポーツ用具の色を変えることによって、パフォーマンスがアップする可能性があるのである。身近にある用具の色をあらためて見直す必要があろう。
◇ スポーツと目 55 スポーツウェアの色
先にスポーツウェアの色が違えば受けるイメージは変わってくることを述べたが、これを裏付ける研究がある。
風間らは、スポーツウェアの色が見る人に、どのようなイメージを与えるかを調べている。競技用のスポーツウェアとしてアメリカンフットボールを、ファッション化されたスポーツウェアとしてスキーをとりあげて、コンピューターグラフィクスでそれぞれのウェアを赤、黒、エンジ、青、緑に変えm受けるイメージを調べている。
これらの色によって表現されるイメージをアメリカンフットボールでは、圧迫感のある、攻撃的な、シャープな、スピードのある、カッコイイ、活動的な、の6用語のなかから選ばせ、色によってどのようなイメージをもつか調べのである。
その結果、アメリカンフットボールでは、例えば、赤は圧迫感のある、攻撃的な、シャープな、スピードのある、というイメージを、黒はシャープな、スピードのある、知的な、冷静なイメージを与えるという。また、スキーでは、赤は楽しい、派手な、活動的な、黒は上手そう、スピードのある、カッコイイというイメージを与えるという。
全般的に、赤のイメージ効果は高く、緑のイメージ効果は低い。また、黒は人によって受けるイメージが大きく異なるという。アメリカンフットボールの戦力イメージに最も優れている色は黒、スキーの総合イメージに最もすぐれる色は赤であるという。
◇ スポーツと目 54 色から受けるイメージ
D視認性
認められやすい色のことである。視認性は背景の色によって変ってくる。背景色にくらべて、明度差の大きいものほど視認性が高い。たとえば、背景が黒のときは黄が最も見やすく、ついで黄橙で、紫、青紫の視認性は最も低い。しかし、背景が白のときは逆に、紫や青紫が最も見やすくなり、黄や黄橙や最も見にくい色になる。一般に、視認性が問題となるのは、対象が視野のなかにただひとつしか存在せず、それを早く見つけようとしている人の注意がその方向に向けられているような場合である。テニスや卓球などのボールがこれにあてはまろう。
テニスや卓球などのコート、あるいは体育館の壁面を背景としたときのボールの色は視認性が高いものがいいであろう。たとえば、テニスコートがグリーンの場合、最も視認性のいい色は黄色であるから、レモンイエローのボールは理にかなっているわけである。
◇ スポーツと目 53 色から受けるイメージ
C誘目性
周囲の注意を引きやすい色、目立ちやすい色である。誘目性の高い色は異常な配色、あるいは周囲の環境にくらべてアンバランスな色である。最も誘目性の高い色は赤で、橙、黄色なども誘目性が高い。青、青緑、青紫などの誘目性は低い。
誘目性は、背景色の影響はそれほど大きくはないが、背景が白の場合では赤が最高の誘目性があり、背景が黒や灰色の時には黄色の誘目性が最も高いという。
アイススケート、体操競技のように観衆の注目を引きつけ、強いインパクトを残す必要のあるスポーツでは、ウェアの色は誘目性が高いほうがいいであろう。ずっと以前のことになるが、アイススケートのカテリーナ・ピット選手のコスチュームは赤が主であった。銀盤の白に対する赤いコスチュームは、彼女の演技をよちいっそう引き立たせる役割をしていたようである。
◇ スポーツと目 52 色から受けるイメージ
B大小感
同じ大きさでも明るい色ほど大きく膨張して見え、暗い色ほど小さく収縮して見える。大小感は、赤か青かといった色相の影響は少なく、明度の影響が大きい。進出色、膨張色の組み合わせによっては一定距離のものをより近くに、しかも大きく見せることが可能である。
たとえば、投手のユニフォームが赤、橙、黄などの進出色で、明度の高い色にした場合、投手にとっては自分を近くに感じさせ、打者に圧迫感を与える効果があるかもしれない。逆に、打者のユニフォームが青、紺、濃緑などで明度が低い場合には、投手への圧迫感は少ないと考えられる。
◇ スポーツと目 51 色から受けるイメージ
A距離感
色によって奥行、距離の判断が影響される。一般に、赤、橙、黄などの暖色系は近付いて感じられ、青や紫などは遠く感じられる。一定の距離でも、近くに感じたり、遠くに感じたりするので進出、後退色と呼ばれる。たとえば、赤と青に色が変るネオンサインは赤では近付き、青では遠くのように見えるので、ネオンサインがあたかも前後に動いているように感じられるのはこの現象である。
このように長波長(赤など)の色が進出し、短波長(青など)に色が後退するという進出、後退感はほぼ波長にしたがう。このため、波長による水晶体に色収差にお違いによるのではないかという推測がある。しかし、赤、黄、緑の区別ができない色覚異常者では距離感に差が見られない。つまり、波長は違っても色の区別ができなければ距離感に違いがないので、色収差は理由ではないと考えられている。
この他、暖色系は興奮色で、人の心をひきつけるので物との距離が近くに感じられる作用があるからともいわれる。
◇ スポーツと目 50 色から受けるイメージ
@重量感
一般に、明度の高いほど軽い感じが大となり、低いほど小となる関係がある。明るい色からは軽い感じを、暗い色からは重い感じを受けている。しかし、一般にこの関係が成り立つのは。対象を手でふれずに、見ただけで受ける感じで、実際に手に持って判断した場合には一定の傾向はないといわれる。手に持ったときには、筋肉を通しての感覚が重さの判断のもとになるためである。また、彩度(色の鮮やかさ)が高いものほど軽く感じられる。しかし、色相、彩度とも明度ほどの影響はない。
ラグビーはユニフォームの色によってチームのイメージが違って感じられるスポーツの1つである。ニュージーランドのオールブラックスの上下黒、靴下も黒から受けるのは「重量感」であり、黒のユニフォームは実際の重さ以上に、オールブラックスを重く見せており、ネームバリューとあいまって相手チームへの威圧となっているだろう。
縦のストライプのウェアは人を細く見せ、横縞は太い印象を与えるが、ラグビーの太い横縞のユニフォームも自分を大きく見せる効果があるよおうである。ユニフォームが白一色の場合には、軽量のイメージを受けるが、同時に軽快、敏捷な印象を与える効果もある。
バレーボールのように飛び跳ねるスポーツでは、靴や靴下の色が黒、紺では重い、という感じを受ける。ジャンプが主となryスポーツでは、靴や靴下のように下部のものほど、明るい色にすると軽快な印象を与える。
◇ スポーツと目 49 色から受けるイメージ
近年、スポーツのカラー化が急速である。カラー化はスポーツ自体のニーズというよりも、メディアからの側面が強い。「美しく見たい」という観客や茶の間のファンの要望と、スポーツを有力な広告媒体にしたスポンサーの「美しく見せたいスポーツ」がマッチして、見た目にきれいなカラー化が急速にすすんでいる。
卓球がテーブルを薄いブルーに、ボールをオレンジ色に、フロアーをうす紫に変える試みをおこない、公式戦でも一部で使い始めた。従来は、白いボールが見やすいように、テーブルの色は濃緑、ユニフォームんぽ色によってボールが見にくくならないように、白のウェアは禁止され、緑、紺、エンジといった地味な単色が多く使われていた。テーブルやボールが変ったことにともない、さまざまな色やデザインのユニフォームが登場している。カラー化によって、とかく地味なスポーツとされる卓球のイメージは大きく変った。
ボールやテーブルの色が従来と異なれば、色が及ぼす影響はたんにイメージだけでなく、パフォーマンスにもよい影響があるのではなかろうか。オレンジ色は膨張色なので、白にくらべて、大きく見え、同時にコントラストは強くなり、ボールがくっきりするから初心者にとっては見やすく、結果的にラリーが続きやすくなるのではと考えられる。
スポーツウェアの色が変ったり、これまで使用していたボールや器具が従来とは違った色になったとき、そのスポーツへのイメージが変ったり、あるいはパフォーマンスがよくなるといった影響を無意識に受けている。これは、日頃、ほとんど意識することはないが、色彩がいろいろな心理的反応をおこしているためである。
この心理的な反応には、色が与えるさまざまな感情効果や、重量感、距離感、大小感といった影響、くわえて、視認性、誘目性といった心理生理的な特性などがある。色から受ける影響は、個人差、場合、時間などによって異なっていてつねに一定ではない。
◇ スポーツと目 48 射撃と利き眼
A照準と眼
射撃競技の照準で、眼の使い方は重要である。
図26は、ピストル射撃の照準である。図のように照門と照星の上ぎわを水平にして、左右の感覚を等しくする。そして、標的の黒点かの6時の位置に合わせ、黒点と照星との間にわずかにうっすらと白い線(すきま)が引けるよおうに照準する。これを「6時照準白一線」といい、照準の秘訣とされている。このようにしたとき、われわれの眼は照門、照星、標的のいずれにも同時にピントを合わせることはできない。初心者ではどうしても標的をはっきり見ようとして、眼のピントを標的に合わせてしまうが、標的はボンヤリした黒い広がりに見えればよく、照門、照星の高さ、左右の感覚がただしいかどうかをはっきりと見なければならないという。なぜなら、銃心の長さが10cmの銃で、合わせ方に1mmの誤差があれば、25m先の標的では25cmに誤差になるからである。
身体はつねに動揺していて静止することはない。このようなゆらぎのなかで非常に微妙な調整が必要とされるわけである。しかも、眼の焦点を照門、照星に合わせられるこぁmmは数秒と短く、しだいにボケる。はっきり見えない状態は、集中力を欠く原因になるので照準はすばやくしなければならない。射撃は集中力とともに、すばやいピント合わせという眼の調節機能が大切となる競技である。
◇ スポーツと目 47 射撃と利き眼
@マスターアイ
ほとんどのスポーツでは両眼で見るので、とくに利き眼を意識することはないが、射撃競技やアーチェリーなどでは利き眼は重要な要素になる。
クレー、ライフル、ピストルなどの射撃競技に共通しちるのは、引き金を引く手と利き眼が同じ側でなければならないことである。射撃では両眼をあけて照準するのが原則である。片眼をつぶると筋肉が緊張し、それが感覚的な緊張につながり、長時間にわたる競技ではエネルギーの消耗が大きいので、片眼での照準は禁物とされている。
利き手が右の場合、照準はスムーズである。しかし、マスターアイが左の場合、左眼の視線に合わせるためには図のように首を右に廻さなければならない。このとき、首の状態は不自然で、筋肉は緊張するため、長時間にわたる競技ではきわめて不利になる。
両眼で照準する場合には、利き手て利き眼が同じ側であることが原則になる。一致しない場合にはマスターアイに合わせて銃を選ぶとか、照門、照星をずらした銃をつくるなどの対策があるという。一致しなくても慣れれば不都合はないといわれるが、慣れるのに時間を要することなどから、一流選手には交差性の選手は少ないといわれている。
◇ スポーツと目 46 スポーツと利き眼
A野球と利き眼
以上は、投打の利きということであるが、バッティングには利き眼も関係すると以前から言われている。バッティングは交差性の選手が有利というのである。交差性とは、利き眼が右で、利き手が左、あるいは利き眼が左で利き手が右の場合をいい、利き眼と利き手も同じ右、あるいは左は非交差性である。
この理由として、たとえば、右利き眼の選手が右バッターボックスに入ると、利き眼である右眼は鼻柱にじゃまされ、ピッチャーの動作や球すじを狭い視野でとらえなければならなくなり、不利。もし、左利き眼であればそのような不都合はなくなり、投球の全動作を利き眼でとらえるので有利というものである。
古くはアダムスが、カリフォルニア大学の選手を調べている。その結果、交差性の選手のバッティングはかならずしも好成績ではなかったという。しかし、右利きー右眼、左利きー左眼という非交差の選手をオープンスタンスとクロススタンスにわけてみると、オープンスタンスの選手のほうが空振り三振が少ないということが分かった。アダムスは、これは利き眼がじゃまされないようにオープンスタンスにかまえたためではなかろうかと考え、バッティングには利き眼も関係するのでは、と結論している。これをもとに、アメリカには非交差性の選手のいは、オープンスタンスをkすすめるコーチもいる。
最近では、ポータルらがフロリダ大学の選手を調べている。これによれば、非交差性の選手の打率は0.250、交差性は、0.310で有意な差があったことから、バッティングには交差性が有利であるとしている。その他、アメリカメジャーリーグの利き眼と利き手の関係を調べたところ、交差性の選手の多かったチームのチーム打率は高い傾向があるという調査結果もある。
バッティングには、このような利き眼の有利性がほんとうにあるのであろうか。いささかの疑問が残る。利き眼がどちらかというよりも、両眼でボールをしっかりとらえることのほうが重要ではないかと思えるからである。
そこで、1989年度の愛知6大学1部リーグの選手100名を対象にして、利き眼、利き手、打率(リーグ戦の公式記録)の関係を調査してみた。表4は、100名のなかから投手や規定打席に足りない選手を除いた61名の利き眼、利き手、打率である。61名のうち、交差性が21名(34%)、非交差性が33名(54%)である。先の阪急ブレーブス(当時、124項)の選手の交差性の割合も、右手ー左眼13名、左手ー右眼4名で、全体の33%である。前原の調査でも交差性は30〜40%になるので、この割合はおおむね妥当のようである。
さて、この交差性の選手の打率は0.305であった。これに対して、非交差性の平均打率は0.300である。わずかに交差性の選手が高いという結果となったが、統計的には有意な差ではない。
前述のように、利き眼がさえぎられるかどうかで有利、不利があるとすれば、利き手がどちらかよりも右打ちか、左打ちかでみたほうがよいであろう。このうにみると、右打ちー左眼、左打ちー右目の交差性になる選手は27名で、打率は0・290、これに対して、非交差の選手は31名で打率は0.303である。統計的な有意差はなかったが、むしろ利き眼が鼻でじゃまされる非交差性のほうが打率が高いという傾向であった。つまり、この調査によれば、打率で見るかぎり交差性が有利かどうかは判断できないということになる。打率よりも、コースの見極めや、見送り、三振といった観点から調査すれば、あるいは有利性はあるのかもしれない。
野球では、「右投げ左打ち」が有利であることを先に述べたが、この調査から右投げ左打ちの選手を拾い出すと61名中9名で、打率は0・320である。ちなみに左投げ左打ちは11名、打率0.287.つまり、同じ左打ちといっても、右投げ左打ちは左投げ左打ちよりすぐれた打率である。大学野球でも右投げ左打ちは有利なようなものである。
この9名の利き手の結果は、全員10項目すべて右という強い右利きである。つまり、本来は右利きであるが、バッティングだけは左である。野球を始めたときは右打ちだったkが、全員、途中から左打ちに転向した選手である。両手利きの選手が左に転向する以上に、右利きが左打ちに転向するのはむずかしいといわれている。プロ野球でも、右から左に転向して成功した代表選手は、広島の正田である。このほかベテランの山崎、野村、阪神の高橋などの選手がいる。右投げで左打ちという選手は器用というか、才能に恵まれた選手であるようだ。
◇ スポーツと目 45 スポーツと利き眼 
@野球における左利きの有利性
テニスや卓球などでは、一般的に左利きは有利とされている。もともと左利きは少ないので対戦経験が少ないうえに、右利きの選手とはボールの回転やコースが逆になるので、左利きの選手を苦手とする人は多い。
スポーツの中で左利きの有利性がはっきりしているのは野球である。次のような利点があげられる。

左打者
・一塁ベースに近いうえに、振り切った姿勢でスタートできる、約2歩分速いという。
・右投手のボールを見きわめやすい。右投手は多いので有利である。
・二盗するランナーが左打者の陰になるので、捕手はスタート見にくい。
・ランナーをすすめることを考えると、右打者が右方向へ流し打ちするより、左打者は引っ張ればいいので打ちやすい。

左投手
・一塁へ牽制しやすい。
・右打者には膝元に食い込んでくる左投手のインコースの球を打つのは難しい。
・打者は全般的に左投手には不慣れ。

守備
・逆に、守備では左利きポジションが限られた不利である。
・内野守備では左利きの選手は二、三盗を許しやすい。左利きの捕手はほとんどいない。

このように見ると、打者としては左打ちが断然有利であることがわかる。実際に、プロ野球の1987年度の打率は左打者が0.278、右打者が0.245で、このことを裏づけている。しかし、左投げだとポジションが限定されるので不利である。したがって理想的なのは、右投げ左打ちの選手ということになる。プロ野球でも、巨人の篠塚選手をはじめとして、右投げ左打ちの選手にすぐれた選手が多い。
◇ スポーツと目 44 利き眼と利き手の関係
さて、発達の過程で右か左に固定されていく利き眼は利き手の発達とよく似ている。前原の調査によれば、利き手が右の人の割合は、10歳前後でいったん50%以下に減少したあと、思春期のころに急激に増加し、成人ではほぼ90%ぐらいが右利きになるという。そして、いずれも右が優位になることが共通している。
ところで、ほとんどすべてを右手あるいは左手でするというように、利き手がどちらかに決っている人が多いが、なかには文字を書く手、ボールを投げる手、あるいは歯ブラシを使う手など、動作によって左右が違う人もいる。このような人の利き手は、利き手テストで判定することになる。いくつかの利き手テストが考案されているが、一例としては八田・中塚利き手テストをあげる。10項目におうち8項目以上を右でおこなえば右利きとし、4項目以上を左でおこなえば左利きとする。それ以外の場合を両手利きと判定する。このテストの結果によれば、日本人成人に約97%が右利きであるという。どのような動作で判定するかというテストの違いによって利き手の割合も異なってくるが、諸外国の右利きの割合もおおむね90%前後が多いようである。
利き手は大脳半球の優位性によるものであるが、利き眼と大脳半球との関係はほとんどわかっていない。これは右眼の像が左脳に伝達され、左眼が右脳で処理されるという単純な関係ではなく、図24のように、網膜の右側の映像は左半球へ、左側は左半球へ送られる。このため、1つの眼でものを見ても、影像は左右の脳へ半分ずつ送られることになり、どちらの脳が働いたのかわからないからである。したがって、右利き手の人(左脳が優位)であっても、利き眼も右になるわけではない。しかし、前原によれば、利き手と利き眼にはわずかに正の相関があり、右利きの人は利き眼も右になりやすいという。
◇ スポーツと目 43 利き眼とは
近年、利き手、利きあ足、利き耳など、身体の「利き」について話題になることが多い。右半球、左半球の機能に関係した「利き脳」という言葉もある。私たちには両眼視しているので、日頃、気づかないが眼にの利きがある。
人は両眼で目標を見ているが、2つの眼が離れたぶんだけ網膜には少しだけ異なる映像が映る。脳はこれを1つに統合し立体視している。このとき、脳では左右どちらかの眼から入る映像を優先し、片方の眼からの映像を抑制している。この選択は無意識のうちにおこなわれている。映像を優先するほうの眼を利き眼という。利き眼は優位眼、指導眼、マスターアイなどといわれることもある。また、利き眼には機能性の利き眼と感覚性の利き眼というわけかたがあるが、機能性をさすのが一般的である。
利き眼の判定法にはいくつかあるが、おもに使われるのは次のようなものである。

@指差法(ローゼンバッハ法)
両眼を開いて目標を見ながら腕を伸ばし、指先でその目標を指す。そのまま指は動かさないで左右の眼を交互に閉じる。左眼を閉じていても指は目標ぁらずれないが、右眼を閉じる指先が目標から離れる場合は「利き眼は右眼」、逆に左眼を閉じると指先が離れるが、右眼を閉じてもずれない場合は「利き眼は左眼」である。
あるいは、親指とひとさし指で作った輪の中に目標を入れて交互に眼を閉じてもよい。

Aホールテスト法
眼の大きさほどの穴を開けた紙を、腕を伸ばして顔の正面に持たせる。この穴を通して、検査者の顔をみさせる。検査者から見て、右の眼が見えれば、利き眼は右、左が見えれば左が利き眼である。指差法で説明しても理解できあに子どもの場合にはホールテストが便利である。ただ、子どもの場合、穴を大きくしすぎると両眼が見えて判定できないので注意が必要である。このほかに、「ビンの中をのぞく眼は」、「望遠鏡を見る眼は」といった使用する眼から利き眼を決めようというものである。
私たちの両眼の視線は目標の一点で合っているわけではない。たとえばホールテストのとき利き眼を閉じてみると、非利き眼の視線がどれくらい目標からずれているかがわかる。このように利き眼は立体視するために優先する眼ということになるが、どちらが利き眼になるかは成長の過程でしだいに固定していくようである。
図23は右利きの眼の年齢による変化である。
これによれば、10歳ころまでは利き眼が右の子どもは30〜40%で、10歳をすぎたころから右の割合が増え、成人に達するとほぼ60%ぐらいが右利きに眼になっている。成人伊丹市達するまでは女性のほうが右が多く、成人に達したのちは男性のほうに右が多いという性差がある。利き眼は左右のどちらかになるのではなく、あるとき右が利き眼になり、あるときは左になるというように、利き眼が一定しない交利眼と呼ばれるものもあるという。
◇ スポーツと目 42 視機能のトレーニング
B視機能のトレーニングによってスポーツパフォーマンスは向上するか
さて、ビュジュアルトレーニングで視機能のうちあるものは向上する可能性が高いが、それがただちにパフォーマンスの向上につながるのだろうか。しかしながら、このおもしろい試みもほとんどおこなわれていない。
個人的なケースではニューヨーク・メッツの三塁手のハワード・ジョンソン選手がAcu-Vision1000で毎日トレーニングをした結果、1987年の記録に対し、1987年は左投手に対するホームランが2本から13本へ、打率は2割1分3厘から3割1分3厘へ、右投手には8本が17本に飛躍的にアップし、このシーズン、ジョンソンは36本のホームラン、2割6分5厘の打率、99打点をあげたという。
このような集中的なビジュアルトレーニングがパフォーマンスをアップさせるのかもしれないが、アップすると断定できる根拠は今のところない。ジョンソン選手の例でも、ビジュアルトレーニング以外の、たとえば、筋力アップなどのほかの要因によるものではないことが証明されなければ、ビジュアルトレーニングの直接的効果とすることができないし、また、コントロール群がないなどの問題点がある。
その他にも、ジョンソン選手のような個人的な例や特殊なケースはあるが、科学的なジャーナルに載っている研究はない。この分野の研究はスポーツビジョンの中でも仮説にとどもっている。集中的なビジュアルトレーニングがパフォーマンスを向上させるかもしれない興味深い分野であるが、まず基礎研究を蓄積するのが先であるように思われる。
◇ スポーツと目 41 視機能のトレーニング
A簡単なトレーニング方法
視機能のトレーニング方法を紹介するが,次にあげる2つの視機能はトレーニング効果は期待できない。ひとつは視力で、これは今のところメガネやコンタクトレンズによる矯正に頼るしかない。もう一つはコントラスト光感度で、これらは網膜機能によって決まるので、トレーニングすることはできないが、ビタミンA、ビタミンB2の摂取によって向上が期待できる。
日常生活のなかで簡単にできるものにはつぎのようなものがる。
@眼球運動
・動いている電車やバスの窓から、景色や看板の文字を正確に読む。はじめのうちは首を動かして読む。慣れてきたらしだいに眼だけで追うようにする。
A動体視力
・いろいろな数字や文字を書いたボールを放り上げて、床に落ちるまでにつぎつぎに数字や文字を読み上げる。
・同じく、野球ボールに文字を書き、インパクトしたとき何という文字が見えたか答えさせる。あるいは、ボールの縫目を黒く強調し、回転を確認させる。
・動くものを明視するトレーニングは、アメリカのスポーツビジョンでは重視されている。トランポリンをしながら左右に速いスピードで動く数字を読むというトレーニングまである。
B周辺視野
・たとえば、ドアのノブをみながら、ドアの横に何があるか、その横は?それは何色?というように注意を周辺に配るトレーニング。
C焦点調節能力
・この機能は年齢とともに低下するので、むしろ、向上よりも機能を保つトレーニングである。検査に使うブロックフリッパーを使う。
・遠くから近く、近くから遠くに視線を交互に移し、両方の目標とも正確に読み取る。相互の距離、視線移動のスピード、目標の大きさ、明るいところ、暗いところと、いろいろなバリュエーションを加える。
D瞬間視
・道を歩きながら瞬間的に後ろを振り返って、後ろの状況をどれくらい正確に把握できるかトレーニングする。
E眼と手(足)の協応動作
飛来するボールに正確にサッと手が出たり、足が出たりすることはボールゲームでは欠かせない技術である。
。サッカディック・フィグゼターを使って、点灯したライトをタッチする。あるいは、足のトレーニングでは、なべ壷を裏返したような不安定な台の上に乗り、点灯した方向にすばやく台を傾ける。

スポーツビジョン研究会では、眼と手の協応動作の目的で開発されたAcu-Vision1000(アキュビジョン)に注目している。この装置は、横1.5m×縦1.2mのパネルに120個のライトが配列され、ライトにはタッチセンサーがついているものである。コンピューターのプログラムによって点灯するライトを追って、手でタッチするという「コンピューター版モグラ叩き」である。首を動かしてライトを追うとか、パネルの中央に視線を固定して、周辺視でライトを感知してタッチする、あるいは、ライトが点灯するインターバルを変えてタイミングをずらすなど、およそ考えられる全てのことができる装置である。結果は反応時間、タッチできた個所、見逃した個所などがグラフとなって表される。現在、この装置は4つのプロ野球チーム、日本リーグのチームなどがトレーニング装置として実際に使っている。
この装置を使って、セリーグ2球団、パリーグ1球団のプロ野球選手86名のポジション別の能力を調べた。内訳は投手38名、捕手15名、内野手23名、外野手10名である。
ポジション別では有意差はなかったが、捕手、外野、内野、投手の順に協応動作がすぐれている。
あらゆる方向にサッと手を伸ばすキャッチャーは、眼と手の協応動作がすぐれており、他のポジションに較べて経験の少ないピッチャーの能力が最も低いというポジションの差が明らかになっている。
ブラウンは、この装置によってどのような機能が向上するか実験している。19〜26歳の男性せれぞれ20名ずつ実験群とコントロール群にわけ、実験群では週3回、5週間にわたってトレーニングをしたものである。それによれば、実験群では総反応時間(ライトから指が離れるまでの反応時間+次のライトにタッチするまでの移動時間)が661msecから569msecに短縮し、また、視野(周辺で文字の判読ができる広さ)が平均で12°から23.8°に広くなり、眼球運動の正確性が24.24〜26.43(指数)に向上したという。また、4週目から有意なトレーニング効果があったとしている。
この装置では、敏捷性の向上とともに、スポーツで重要となる眼球運動、周辺視野での知覚などが総合的にトトレーニングできるのではないかと考えられる。


◇ スポーツと目 40 視機能のトレーニング
@スポーツ選手と一般の人の比較
アメリカでは以前から、スポーツ選手と一般人の視機能を比較する研究が行なわれている。代表的なものをげると、最も以前のものは1941年のホブソンらの、大学バスケットボールのベストパスプレーヤーは他の選手よりも15広い視野を持っていたというものである。
翌年の1942年、ウィノグラードはKeystone Telebinocular instrument(両眼視を測る装置)などを使って、大学野球選手をレギュラー、補欠、一般学生の3つのグループにわけ組織的に研究しちる。11の視覚機能と、タイミングテストとして単純、選択反応時間で有意にすぐれていた。しかし、視力とバッティングには関係がないこと、また、融像近点や遠点に異常があってもかならずしもバッティングは劣らなかったとしている。
その後、高校生レベルですでに視野と深視力は、一般の高校生によりスポーツ選手のほうがすぐれているというリディーニの報告などもある。
最近では。カリフォルニア州立大学のフットボール選手とソフトボール選手の計54名と、ほぼ同年齢の心理学部の学生54名を比較したものがある。検査項目は11項目で、このうり両群に有意差があったのは左眼視力、輻輳の速さ、眼と手の協応性、反応時間、周辺知覚、眼球運動、近点距離の7つの項目で、いずれにスポーツ選手群のほうが有意にすぐれていたというものである。
この種の研究をまとめたスタインらは、スポーツ選手は、非スポーツ選手よりすぐれた眼を持っており、それは、周辺視で動きを知覚する範囲が広く、眼球運動、周辺視力、動体視力(DVA)、深視力、瞬間視がよく、また斜位量が少ないことであるとしている。
さて、野球選手は眼がいい代表のようにいわれることがあるが、実際にどのような眼を持っているだろうか。プロ中のプロであるアメリカ大リーグ選手400人の調査結果によれば、視力の平均は両目ともに1.3かそれ以上で、矯正レンズwp使用しているものは全体の10%以下、メガネを装用している選手はただ1人であったという。また、焦点調節力や、輻輳調節力、眼球運動などは投手より野手のほうが20〜30%すぐれており、これは指名代打制により、投手はバッティングの経験が少ないため能力差がでうのではないかとしている。また、深視力は高校、大学の選手より大リーグ選手のほうがすぐれているので、深視力は野球を通してのトレーニング効果が考えらえるという。
図21は、田村が測定した阪急ブレーブスの選手52名の視力値である(右眼のみ作図)。このデータは矯正している数名を除いた選手のものである。52名のうち1.0未満の選手が6%とごくわずかで、約60%の選手が視力1.5以上である。大リーグの結果とあわせてみても、プロ野球は視力のよい人が飛びぬけても多い集団であることがわかる。視力がよいことはプロ野球選手として必要条件であるようだ。
これらの研究を概観すると、スポーツによって視機能に違いはあるが、スポーツ選手は一般人よりすぐれた「眼」を持っているとみなされる。もともとすぐれた眼を持つ人がスポーツをすると考えるのは無理であろう。スポーツを通して潜在能力が開発されたとするのが妥当ではなかろうか。
さて、スポーツ選手の眼がスポーツを通してトレーニング効果とするならば、視機能はトレーニングによって向上することが証明できなければならない。眼は鍛えられるのであろうか。眼のトレーニングには2つの考えがる。
・両眼視がうまくいかない、輻輳不全など視機能に何らかの異常がある場合、これをトレーニングによって改善する。
・健常者の視機能をトレーニングによってさらに高める。
スタインらは、これまでの研究トレーニングによって向上が認められた視機能として、眼球運動、焦点調節、輻輳調節、動体視力(DVA)などをあげている。また、先の21日間の動体視力のトレーニング(39項)や、バレーボール選手のトレーニング(116項)のように、視機能のうちのあるものは集中的なトレーニングによって向上する可能性がある。視機能のトレーニングは、眼に強い疲労を感じない程度で、少しずつ毎日続けるのがよいとされているが、この分野の研究は日が浅いためトレーニングの原則である強度、時間、頻度、期間といったことはほとんどわかっていない。スポーツ選手のビジュアルトレーニングの方法についてまとめてある「The Athletic Eye」には、1日15分から始まって、2週間目を20分・・・・・・としだいに時間を長くして、30日トレーニングをつづけるプログラムが載っているので、興味のある方は参照されたい(1991年11月に大修館書店から「トップ・プレーヤーの眼」という書名で翻訳出版されている)。
◇ スポーツと目 39 「眼」のコンセプト
11の測定項目からわkるように、スポーツビジョン研究会では「眼」を単に「視力」とみなしていない。すでに述べたように、視力は、ものの形や細部がはっきり見えるか、という刑能覚の鋭敏さである。スポーツでは、眼を通して入力する情報は時々刻々と変化するから、時間軸を持っていない(静止したものを見る)視力とスポーツの成績とは関係が少ない。事実、多くの研究から得られる視力(静止能力)とパフォーマンスの相関は低いものである。
もちろん、視力がわるくてボールはよく三見えなかったり、敵と味方の区別ができないといった場合は論外であるが、それは正しく矯正することで解決できることである。よい視力はスポーツの出発点で、ゴールではないと考えている。
すでに述べたように、ひと口にスポーツといっても、そこでの眼の使われ方はさまざまであるが、とくにボールゲームなどの動きのあるスポーツで要求される。「眼」は、基本的には動くものを知覚する能力と考えられる。たとえば、先のバレーボールやバスケットボールなどでは見えるものはすべて動いている。自身が動きながら動くものを見る。ボールや選手が遠ざかる、近づく、左右に激しく動く、ジャンプする、敵や味方が前後する。このようななかで必要な眼の能力は、以下のようなものである。
・視野の周辺で、動くものを感知する周辺知覚
・動くものを的確に中心寓におさめる眼球運動
・中心寓におさめた像にすばやくピントを合わせる調整作用
・前後差を知覚する深視力
・ボールが接近したときの動体視力や輻輳
・見たものを瞬間的に知覚する瞬間視

スポーツではこれらの機能はほぼ同時に、しかも休むことなく連続的に働いている。動くものを迅速にとらえ、正確に把捉し、鋭敏に知覚することが求められるのがスポーツにおける「眼」である。このような能力は、本来、統合された一種の動体知覚(動くものの知覚)のようなものであって、個々の機能に分割しそれを総合すれば判定できるものではないが、現在は最適な測定法がないので、いくつかの視機能にわけ、総合することによって判断せざるを得ないと考えている。一般の人の通常の生活では、スポーツ選手のような眼の使い方をすることは少ない。後述するように、スポーツ選手は一般の人よりすぐれた眼を持っているが、スポーツ選手が特殊とか素質的にすぐれているのではなく、このような眼の能力は潜在的に誰にでもあるが、一般の人ではそれが開発されていないだけであると考えている。スポーツ選手の場合、スポーツが動くものを見る訓練になっていて、それを、長い年月繰り返した結果、すぐれた視機能を持つにいたったと推測される。したがって、先の一流選手の間でもレベルによって差があるというのも、長い間、高いレベルでの練習や試合を多く経験したことが、他の選手の視機能と差がついたものと考えている。
すぐれた視機能を持つことによって、視覚情報収集の質と量が高まり、それが高いパフォーマンスにつながると考えられるのであるが、現状では両者の因果関係を説明できるものは何もない。いまの段階でわかっているのは、一流のスポーツ選手はすぐれた眼を持っているということだけであって、それがスポーツのパフォーマンスにどのように貢献しているかはまったくわかっていない。
スポーツビジョンの研究は始まったばかりなので、測定の見直しや装置の開発をはじめとして多くの課題がある。現在、多くのスポーツ種目の検査をおこなって、データの収集をしているので興味のある方は東京メガネのスポーツビジョンセンター(TEL:03-3411-6323)までどうぞ。
◇ スポーツと目 38 一流選手は目がよい 野球
前出(41項)の野球チーム。A、B、Cクラスそれぞれ12名、9名、6名である。Aクラスの選手がほとんどの項目ですぐれており、とくに動体視力、眼球運動、深視力に優れていた。総合点でもA>B>Cの順で、AクラスとCクラスの総得点の差は統計的に有意であった。

以上の4種目をまとめたのが図20である。測定項目のほとんどが、A>B>Cくらすという順であり、眼のよしあいと競技力には密接な関係があることを示唆している。とくにAクラスの選手の眼はすぐれており、動体視力、焦点調整能力、深能力、眼と手の協応動作の4つの能力は、B、Cクラスとは明らかな違いがあることがわかる。検査対象が少ないので早急な結論は出せないが、この結果をもとにすると次のことが言えそうである。
・競技レベルの高い選手はすぐれた視機能を持っている。
・視機能は競技力を推測する尺度の1つとなる可能性がある。
◇ スポーツと目 37 一流選手は目がよい サッカー
プロ化が決定している日本のリーグチーム。A、B、Cクラスそれぞれ8名、12名、4名である。眼球運動、深視力、眼ー手の協応動作、高さ見積もりでAクラスの選手はすぐれていた。総得点でもA>B>Cの順である。サッカーでは眼と手の協応動作よりも眼と足の方が重要である。そこで、眼ー足の協応動作も測定したが、結果はA>B>Cの準であった。
◇ スポーツと目 36 一流選手は目がよい バスケットボール
バスケットボール日本リーグ1部2チーム、大学選手権上位2チーム、高校生1チームの計5チームの45名。バレーボール同様、検査結果はしらせずに暮らすわけをしてもらった結果、Aクラス14名、Bクラス18名、Cクラス13名前であった。
図19はバスケットボール選手の視機能特性である。それぞれの項目の平均からの偏差で表してある。Aクラスの選手がほとんどの項目でよい成績である。動体視力、コントラスト感度、焦点調整力、深視力ではB、Cクラスより有意に高く、B、Cクラス間には差がないという結果であった。
◇ スポーツと目 35 一流選手は目がよい バレーボール
対象は、1989年度の日本リーグ1部で優勝した女子バレーボールチーム20名。全員を検査し、1〜5段階評価したのち、5段階評価を総計し、総合点で順位をつけた。この結果は監督・コーチには一切知らせてず、20名の選手を次の3クラスにわけてもらった。
Aクラス・・・とくに競技にすぐれ、スターティングメンバーとして信頼されている選手
Bクラス・・・Aにすぐグループで、交代要員として出場する場合もある選手
Cクラス・・・公式試合にまsず出場する機会のない選手
図18は、競技力を表す客観的指数と考えられる公式戦でのスパイク決定率は、A、B、Cの順に高い傾向がある。破線より左の公式戦へ出場する機会がなかったCクラス5名の選手を除く15名の相関は、R=0.550で、スパイク決定率とスポーツビジョンの得点の間には有意な相関がある。つまり、スポーツビジョン得点の高い選手はスパイク決定率も高いということになる。
測定した11項目の視機能では、Aクラスの選手は動体視力、眼球運動、深視力、瞬間視、眼と手の協応動作がB、Cクラスにより有意にすぐれていた。
このチームメンバーに1989〜90年の1年間にわたって、ビジュアルとトレーニングをおこなった(×印の選手はその間に退部している)。ビジュアルトレーニングは、ブロックフリッパーを使った眼の焦点調節、プリズムフリッパーをつ使った輻輳調節のトレーニング、そしてAcu-vision1000という装置(後出)を使った眼と手の協応動作のトレーニングである。遠征、試合などで多くの選手はトレーニングがつづけられなかったが、F選手、T選手は1年間継続できた。
その結果、F選手のスポーツビジョン得点は34点から43点に、同じくT選手は36点から39点にアップしている。同時にスパイク決定率もそれぞれ35%から40%に、40%から50%にアップしており、ビジュアルトレーニングとパフォーマンスの向上に正の相関を得ている。
◇ スポーツと目 34 一流選手は目がよい
現在、スポーツビジョン研究会は次の目的で調査をおこなっている。
・スポーツ選手の視機能から競技力を評価することができる。
・スポーツ種目によってどのような視機能が重要か。
現在のところ、次のような理由から、わが国の一流選手を調査対象としている。
トップレベルにある選手は体力、精神力、技術力などの差は紙一重である。このため、監督・コーチからみると、これらの能力を充分持っていながら、どうしてこの選手の競技力が低いのか、その原因が見出せないことがしばしばある。そこで、念のために眼を調べたら視機能の不全や低下がみるかり、矯正することによって本来の競技力を発揮したという例は少なくない。東京メガネのスポーツビジョンセンターではこのような事例を多く手がけている。つまり、競技レベルの低いところでは「眼」がきいてくるというわけである。
これまで検査をおこなった種目は、バスケットボール、バレーボール、サッカー、野球、卓球、テニス、アメリカンフットボール、ゴルフ、バドミントンなどである。このうち。バレーボールとバスケットボール、サッカー、野球の結果を紹介する。
・バレーボール
対象は、1989年度の日本リーグ1部で優勝した女子バレーボールチーム20名。全員を検査し、1〜5段階評価をしたのち、5段階評価を総計し、総合点で順位をつけた。この結果は、監督・コーチには一切知らせず、20名の選手を次の3クラスにわけてもらった。
Aクラス・・・とくに競技力にすぐれ、スターティングメンバーとして信頼されている選手
Bクラス・・・Aにつぐグループで、交代要因として出場する場合もある選手
Cクラス・・・公式試合にまず出場する機会のない選手
図18は、競技力を表す客観的指数と考えられる公式戦でのスパイク決定率と、11項目の照合点(以下、スポーツビジョン得点)との相関である。スパイク決定率はA、B、Cの順に高い傾向がある。破線より左の公式戦へ出場する機会がなかったCクラス5名の選手を除く15名の相関は、R=0.550で、スパイク決定率とスポーツビジョン得点の間には有意な相関がある。つまり、スポーツビジョン得点の高い選手はスパイク決定率も高いということになる。
測定した11項目の視機能ではAクラスの選手は動体視力、眼球運動。深視力、瞬間視、眼と手の協応動作がB、Cクラスより有意にすぐれていた。
このチームのメンバーに1989〜90年の1年間にわたって、ビジュアルトレーニングをおこなった(×印の選手はその間に退部している)。ビジュアルトレーニングは、ブロックフリッパーを使った眼の焦点調節、プリズムフリッパーを使った輻輳調節のトレーニング、そしてAcu-vision1000という装置(後出)が使った眼と手の協応動作のトレーニングである。遠征、試合などで多くの選手はトレーニングが続けられなかったが、F選手、T選手は1年間継続できた。
その結果、F選手のスポーツビジョン得点は34点から43点に、同じくT選手は36点から39点にアップしている。同時にスパイク決定率もそれぞれ35%から40%に、40%から50%nアップしており、ビジュアルトレーニングとパフォーマンスの向上に正の相関を得ている。
◇ スポーツと目 33 スポーツビジョンの測定項目
さて、わが国でもスポーツと眼に興味を持つ医師、研究者などを中心として、一九八八年にスポーツビジョン研究会が八足し(著者もメンバーの1人)、東京メガネ(株)が開設したスポーツビジョンセンターで、スポーツ選手の視機能検査を手始めに活動を開始した。
視機能検査は基本的にはアメリカのスポーツビジョン検査項目に準拠したものであるが、興味を持っている方も多いと思うのでどのような検査なのか簡単に紹介する。
検査項目は次の11項目であり、測定結果を5段階評価している。検査はすべて実際のスポーツと同様に両眼視でおこない、必要があればメガネ、コンタクトレンズで矯正もおこなっている。
@視力
・静止視力
・動体視力(KVAの動体視力を測定)
Aコントラスト感度
色や明るさの微妙な差を識別する能力。
コントラスト表を使用する。
B眼球運動
King-Devickテスト表を使う。不規則な間隔に書かれた数字を読み取っていくものである。左上から始め、読み終わるまでの所要時間を測定する。外眼筋の共同運動の正確性とスピードが要求される。
C焦点調節能力
水晶体による調節機能の良否を測定する。+2ジオプターと−2ジオプターのレンズで交互に視標を見させる。レンズによってはじめは視標はボケているが、どのくらいの時間でピントが合うかという調節時間を測定する。ブロックフリッパーテストという。
D輻輳調節能力
プリズムを使ったメガネを使い、強制的に輻輳、あるいは開散させた視線が正常な両眼筋視を保とうとする能力を測定する。外眼筋のうち、内・外直筋の共同運動による。プリズムフリッパーテストという。
Eブロックストリングテスト
2つの球(ブロック)をつけたひもを使用する。球を眼の前方、5mと2.5mの位置におき、ひもの端を鼻にあて、2つの球を見る。5m、2.5メートルにある球をそれぞれ見た場合、実際に感覚される(あると思う)球の位置と、実際の位置の間に距離的なズレが生じる。その誤差が少ないほどよい。実際の距離よりも遠くに感じる、あるいは近くに感じるという距離感に関係する。
F深視力
空間における位置関係(立体感)の検査。
深視力計(CP−250NS)を使うが、その他、立体鏡を補助的に利用する。
G光感度
薄暗いなかで見る能力、および、まぶしさ(グレア)からの回復力をみるテストである。夜間視力計(AAA−3538)を使用する。
H瞬間視
タキストコープによって六桁の数字を0.1秒間投影する。数字をどれだけ知覚できたかを調べる。
I眼と手の協応動作
ウエイン社製のサッカディック・フィグゼターを使う。これはパネルに提示される視標を手でタッチし、規定時間内にタッチした数が多いほど、眼と手の協応動作がすふれているというものである。反応時間とともに、視野の広さ、眼球運動などが関係する。
J高さ見積もり
ものの大きさ、高さ、距離の目測能力を検査するもの。深視力、立体感覚に関係する。

◇ スポーツと目 32 スポーツビジョンとは
アメリカでは、約50年ほど前からスポーツと機能に関する調査・研究がおこなわれているが、スポーツ選手の視機能の検査、矯正、トレーニングなどを体系的におこなおうという試みが始まったのは十数年前からである。アメリカではこれを「スポーツビジョン」と総称している。スポーツビジョンを目的として、アメリカ・オプトメトリック協会のなかに「スポーツビジョン・セクション」が1978年に設立された。その後、1984年にもう1つの組織である「ナショナル・アカデミー・オブスポーツビジョン」がつくられている。いずれの組織も、眼科医、オプトメトリスト、研究者、コーチなどからなっている。
アメリカには眼に関する専門家として、オフサロモノジスト(眼科医)、オプトメトリスト(検眼医)、オプティシャン(眼鏡士)の三業種がある。オプトメトリストは、わが国ではこれに相当する制度はないが、眼科医と眼鏡士の中間に位置し、視力の検査、視力障害を改善する処方や視力訓練などを業務としている。わが国でも屈折検査は本来、眼科医の仕事であるが、実際には眼鏡店でもおこなわれているように、アメリカでもオプトメトリストと眼科医の境界はあいまいで一部ではだぶっているという。オプトメトリストの作成した処方で、オプティシャンといわれる技師が眼鏡をつくることが多いという。
1990年「ナショナル・アカデミー・オブ。スポーツビジョン」の総会では、スポーツと視機能の基礎的な研究の発表、スポーツ選手用のコンタクトレンズの開発、スポーツ中の眼傷害の報告などが中心であった。プロスポーツと契約して選手の視力矯正や視機能のトレーニングをおこなっているオプトメトリストの実践報告もあって内容は多彩であった。視機能をトレーニングするというコンセプトはアメリカでも目新しいようで、トレーニングの実践コーナーでは参加者との間で活発な意見交換がおこなわれていた、
アメリカのスポーツビジョンの概念は、主として次の4つである。
・検査
・矯正
・強化
・保護
スポーツにおいて必要な視機能を検査し、矯正できるものは矯正し、視機能を強化し、スポーツ中のケガから眼を保護するといういもので、基本的には選手のもpつポテンシャル(潜在能力)を向上させ、パフォーマンスのアップに寄与しようというものである。アメリカでは、コロラドスプリングスにあるオリンピックトレーニングセンター内にスポーツビジョンセンターが設置され、これまでオリンピック候補選手三千名の視機能が検査されている。
◇ スポーツと目 31 戦術的能力 ラグビー
戦術的能力や予測などは、実際にスポーツをしている状況のもとで判断するのがいいがむずかしい点が多い。このため16mmフィルムやVTRのストップモーションを利用することがほとんどである。しかし。画面をもとに判断することが実際のスポーツ場面のもとでの判断と同じであるかどうかは疑問の点もある。
そこで、中川は、実際にグラウンドに選手を配置して状況判断の実験をおこなっている。この実験は弱点をもったディフェンスんの配置を18パターンつくり、この状況を4秒間だけ見させ、相手ディフェンスの弱点はどこか、そこをどのように攻めたらいいかを質問するといものである。
これによれば、大学一軍プレーヤー、二軍プレーヤー、初心者を比較すると、技能レベルが高くなるほど弱点を正しく認知することが多くなったとおう。さらに、その弱点に対してどのように攻めたらいいかという質問には、初心者の回答の20%が誤りであったが、一、二軍ではそれぞれ0%、2%であったという。
しかし、相手の弱点はわかっても、どのように攻めたらいいかという戦術的な知識がなければ十分ではない。中川は、さらに状況を判断する能力と戦術的な知識の保有率との関係を調べている。その結果、戦術的知識を多くもっている選手ほど状況判断能力が高いという関係があったという。
ボールゲームでは、それぞれの技術を上達させることもさることながら、ある程度の技術に達したならば、それをいつ、どのように使うかとう、戦術的な判断能力を磨く方が重要ではなかろうか。しばしば、わが国と欧米の考え方の違いや、コーチングのあり方として指摘される点である。
このような戦術的な判断能力も、重要性は指摘されていても研究はほとんどすすんでいない。ここに載せなかった研究もふくめて、現状では初級者、上級者といった技術レベルの比較にとどまっている。得られている結果は技術レベルによって予測や判断能力に差があるというものがほとんどで、実際のスポーツにすぐ活用できる段階ではない。これらの能力が練習の過程で自然と身につくもなのか、素質はあるのか、トレーニングは可能かといったことにまで研究はすすんでいない。
すでに述べたように、状況判断や予測といった能力は、戦術的な知識があるかないかといったことまでふくめた高次な能力であり、これがいわゆる「眼がいい」ことの本質である。
しかし、その最も基礎にあるのは、ゲーム状況を知覚するための視覚能力、つまり、「感覚受容器としての眼」が完全であるということである。受容器に欠陥があったり、機能が十分発揮されていない場合には、その上に成り立つこれらの能力にも影響があることは十分予想される。
もう1つの意味の「眼がいい」とは何かを次章で述べてみよう。
◇ スポーツと目 30 戦術的能力 サッカー
ドリブルシュートをいてくるシューターを16mmフィルムにとり、シューターの軸足が着地した瞬間、インパクトしたとき、フォロースルーのそれぞれの時点でフィルムを止め、シュートがゴールのどこ入るかを予測させた研究である。
これによれば、軸足だけから判断するより、インパクトから判断するほうが正確率が高く、さらにフォロースルーから予測するほうが正解が増すという。初心者、中級者、熟練者とも、フォロースルーから判断した場合には的中率はほぼ95%で差はなかった。また、サッカー経験者は、軸足を見た時点で60%の的中率で何処にシュートが入るか予測できたという。しかし、同じ経験者であっても中級者と熟練者を比較すると、熟練者のほうがインパクトの瞬間のフォームから予測する場合、的中率が高い。このことから、シュート方向を予測する能力は。軸足をみてからインパクトするまでの情報をもとに判断する能力で決まるのではないかとしている。
◇ スポーツと目 29 戦術的能力 テニス
海野らは、ネットプレーヤー(ネットにつめたプレーヤー)の予測能力を調べている。これは相手の打つストロークが、パスかロブか、クロスかストレートかを予測するもので、相手選手のストロークを16mmフィルムで映し、インパクトの瞬間の何コマ前で予測できたかをしらべようというものである。
これによれば、上級者は相手がパスで抜いてくるか、ロブをあげてくるかという予測にすぐれていて、インパクトの6コマ前(0.25秒)では約80%に正解し、4コマ前(0.17秒)では95%が正解であったという。上級者はインパクト前でほぼ完全にパスかロブかの予測ができることになる。これに対し、初級者は6コマ前では55%、4コマ前ではあ61%で、インパクト後2コマ(0.08秒)で98%の正解で、初級者では相手が打つ以前にパスかロブかの予測することはむずかしいことがわかる。全体的にみると、上級者、初級者ともパスかロブかの判断より、ストレートに打ってくるか、クロスかというコースを予測するほうがむずかしい結果であったという。
◇ スポーツと目 28 戦術的能力
さて、以上は、注視点からみた眼の配りであったが、ボールゲームではたんに個々の技術がいいだけでは意味をなさない。それをどのように使うかという戦術的な判断のよしあいがそれにもまして重要である。相手の弱点や攻撃パターンを見つけ出し、次に的確な対応をするためには、プレー状況のどこに注目するかはきわめて大事である。それゆえ、眼の配りや、眼のつけどころがボールゲームでの指導の勘どころともなる。
しかし、注視点からはその選手がどこを見ているかはわかっても、実際にどのような戦術的な判断能力があるかまではわからない、なぜなら、注視点はあくで中心視の位置と移動の量的情報だからである。そこからどのような情報をどれくらい受容したかとか、周辺視からどのように情報をとっているかという質的な側面は、注視点からはわからない。
このため、その選手がどのような戦術的な能力があるかとか、次のプレーうぇお予測できる能力があるかを調べるには注視点の分析ではおのずと限界がある。そこでこのような場合には、ゲームの状況を映したスライドや絵を4〜5というわずかな時間見せる、あるいは16mmフィルムやVTRの動きをある瞬間で消すなどの方法を使って、相手がどのようなプレーをおこなおうとしていたか、味方はどのような対応をしたらいいかなどを質問して、その回答から判断するという方法をとることが多い。
いろいろなスポーツでこれらの能力が調べられている。代表的な2、3の例をあげてみよう。
◇ スポーツと目 27 注意点と空間知覚 野球
野球ではボールから眼が離れることを「眼を切る」という。バッティングにおいて、ボールから眼を離さないことは視覚的にどこまで可能であろうか。
ベレンによれば、アメリカの大リーグ選手では、ボールが投手の手から離れ、打者が打つまでの時間は平均0.54secであるという。大リーグのバッターの平均スウィング時間は0.28secなので、差し引きすると投手の手を離れて0.26sec後、つまりバッテリー間のほぼ中間あたりにボールがくるまでに、バッターは振るかどうかの決断をしなければならにことになる。スウィングの速い人ほど、ボールを引きつけて打つことができるからそれだけ有利である。
この間、打者はインパクトする瞬間までボールを追跡しているのだろくか。研究によれば、打者は頭は動かさずに、眼でボールを追跡する。このときの眼球運動は滑動性のpursuit movementであるという。そして、眼球運動はバットかボールにあたる時点まで続いていないという。つまり、実際にはインパクトするまでに「眼は切れている」ことになる。ホームプレートに近くなると相対的にボールが速くなる、あるいは、垂直に近く移動するので追跡できないということも理由であるが、むしろ、打つと決断し、スウィングを開始した時点からのボール情報はインパクトの役に立っていないためでもある。
バッティング動作は瞬時的(バリスティック)な動作である。いったん打つと決断してスウィングを開始したら、途中でスウィングを止めることができない。したがってスウィングを始めてから後に入ってくるボール情報は、むしろ、自分のスウィングとボールとの誤差確認の役割を果たしていると考えれられる。
このように、ゴルフでも野球でもインパクトの瞬間までボールを見ようとすることは大事であるが、実際にはインパクト直前の視覚情報はスウィングの役に立っていない。著名なプロゴルファーが書いた指導者のすべてといっていいと思うが、インパクトのときに「頭を残せ」という表現はあっても「眼を残せ」という表現はない。彼らにとって、ボールに視点を置くことは当然で、あえて言うまでもないことかもしれないが、自動化されたスウィングには眼からの情報受容はバッティングスウィングまでで充分であることを示唆している。
にもかかわらず、眼(頭)を残すことが強調されるのは、情報受容よりも回転運動に関係していると考えられる。ゴルフや野球のスウィングは、体幹の軸を中心にした回転運動である。頭を動かさずに、体幹を回転させ、ひねりもどすときのパワーを利用している。もし、体幹の回転より先に頭が回転する、つまり、球の飛ぶ方向を見てしまえば体幹の回転によるパワー、いわゆる腰のためにロスが出て五体のタイミングもくずれ、ヘッドアップとか、泳いだといわれるスウィングになる。
眼がキョロキョロすれば、それにつれて視野が動く。視点を一点に定めても、頭がグラグラすれば視野も動揺し、安定的な空間知覚が得られない。つまり、ゴルフでは頭を動かさないようにして、スウィング中はボールに、インパクト直後もボールのあったところにおく。野球でも頭を動かさないようにして、インパクトまでできるだけボールを見ようとする。こうすることによって、安定的な空間知覚ができるとともに、ぶれのない回転運動が可能になるからと考えられる。
このよおうに、ひと口に注視点とか、どこに眼を向けるかといっても、それぞれのスポーツによって違い、また持つ意味合いも違うことは当然であるが、ここでは取り上げられなかった多くの研究結果も含めて注視点についてまとめると、熟練者にはおおむね次のような共通点がある。
@バスケットボールのフリースローのように、動かない対象に対してプレーする場合には、注視点を一点に定め、かつ、視点の動揺が少ない。(ボウリング、ゴルフなど)
A対象は動くが、1つであってそれに対してプレーをする場合では、対象を注視し、プレーのぎりぎりまで注視を持続する。(バッティング、テニス、バドミントン、卓球など)
B複数のプレーヤーやボールが複雑に動くスポーツでは、1回に注視時間が短く、注視頻度が多い。また、ボールへの注視時間には短い。視野全体に注意を配るために周辺視を活用し、プレーヤーとボールに均等に注意を配分する。(サッカー、ラグビー、バスケットなど)
◇ スポーツと目 26 注意点と空間知覚 ゴルフ
ボールから眼が離れたら、うまく打てないのものの代表はゴルフであろう。打った球の行方を早く知りたいという心理が働くのだろうか、眼が離れる(眼が残らない)のは初心者の最大の欠点である。
ゴルフスウィング中の眼の動きを眼球電位図(EOG)で分析したものが図17swある。顔の正面と目線の方向が一致しているときは、EOGの出力がゼロのときで、図の基線上である。基線より上にあるときは、顔の正面に対して眼が左を、基線より下のときは右を見ていることを表している。
これをみると、経験者ではバックスウィングのとき、眼は顔に対して左にあり、ダウンスウィングが始まると、目線はいったん顔の正面に戻ったあと右側に位置する。インパクトのときは右にある。よくいわれる「眼が残っている」状態である。フォロースウィングでは目線はしだいに右から顔の正面に戻っていく。つまり、経験者はバックスウィングからインパクトまではボールそ、インパクト後もわずかな間は、ボールのあったところを見ていることがわかる。ところが、未経験者では、インパクト同時に顔より早くボールの行方を追うように眼は左を向いており(図では上方向)、未経験者特有の「眼が残らない」特徴がわかる。
さて、このように経験者ではスウィング中もボールを見ていないと打てないのだろうか。どうもそうではないようである。熟練したゴルファーはバックスウィングの最初のわずかな時間だけ照明をつけ、ダウンスウィングでは照明を消しても正常通りスウィングができボールを正確に打てるが、バックスウィングの始まる前に照明を消した場合には、ボールを正確に打てないという。
つまり、熟練したゴルファーにとっては、スウィングは脳ですでにプログラムされている自動化された動作である。その場合、視覚情報はバックスウィングのごく最初の部分で必要であって、ダウンスウィングでは必要ではない。熟練者にとっては、バックスウィングの最初までのボールを見ることによって、すでに安定的な空間知覚ができあがり、これをもとに自動化されたスウィングがおこなわれると考えられる。
◇ スポーツと目 25 注意点と空間知覚
「ボールをよく見て」というのがボールゲームの指導の定石である。この他、「ボールから眼を離すな」とも言われる。「ボールから眼を離すな」は「ボールをよく見て」という意味と、一瞬のうちにゲームの流れが変るから、ボールを見ていないと状況が把握できないという意味合いがある。
テニスのストロークやボレーで大事なことは、ラケットを見ることではなく、ボールをよく見ることである。ボールをよく見ていればラケットの真ん中でヒットすることができるようになる。ぬけていくような打球を横っ飛びでキャッチする野球選手のナイスプレーヤーもボールよく見ていればこそである。もちろん、このとき、グローブは見ていない。
このように、ラケットやグローブを見なくても、ボールをよく見ていれば正確なプレーができるのは、身のまわりの三次元の状況を脳に築き、それをしばらく保持する空間知覚の働きによる。私たちの脳には、じっと見つめることによって精度の高い空間知覚をつくり、正確な運動指令を出すことのできる機構があるという。チラッとではなく、じっと見ることによって空間知覚が成立するとすれば、ボールをよく見るということは安定的な空間知覚をつくり、正確な動作のためにきわめて大事なことである。
◇ スポーツと目 24 どこに眼を向けているか その他
バスケットボール選手でもポジションが違えば注視点も違うという。また、棒高跳び、ハイジャンプ。剣道、重量挙げでは一流選手と初心者では視線の集中性、つまり動揺度に違いがあるといわれている。
また、変わった例として「かるた」の名人の眼の動き、競馬の馬の見方の比較がある。かるたの名人は、上の句が読まれる直前までは、場の中心の一点に視線が集中しており、すべてのかるたに対して均等に注意が払われているが、一般の人はkつねに視線が移動していて注意が定まらないというい。また、馬の見方もプロとアマではまったく違っていて、アマチュアは馬のスタイルを見るのに対して、プロは馬の目や筋肉などを中心に見ているという。
◇ スポーツと目 23 どこに眼を向けているか バレーボール
スパイカー3人とセッター1人の攻撃をVTRにとり、この攻撃をブロッカーがブロックする状況を想定したとき、画面上の選手の動きにどのように視線を動かすかを調べた研究がある。これによれば、熟練者は視野いっぱいに注視点を移動し、さらえに、スパイカーやセッターの動きに注目して、ボールを注視しない傾向があるという。また、情報は周辺視によって得ていることが推測されるという。一方、未熟練者ではボールを追う傾向があるため、視線の移動範囲が狭く、このため、スパイカーの存在に全く気がつかない場合もあるという。未熟練者はボールの動きから攻撃の情報を得ようよしちるのではないかとしている。
◇ スポーツと目 22 どこに眼を向けているか ラグビー
安ヶ平らは、状況判断能力が上、中、下と推定されるそれぞれ10名のラグビー選手の注視点を調べている。相手プレーヤーのショートペナルティキックの開始を見てから、状況判断するまでの注視点を比較したものである。これによれば、下位群の注視点は中央付近に集中して動きが少ないのに対し、上位群の注視点は左右に大きく移動するという。これは、上位群のプレーヤーは特定の対象に注意を向けながらも、視野内の対象にも意識を働かせ注意を配分するため、周辺視でディスプレー内の変化をとらえて、そこに注視点を移動するというパターンをとるからではないかとしている。
また、実際の注視点を分析したものではないが、試合中のプレーヤーの顔の向いている方向から、ラグビー選手の注視行動を分析した研究もある。
これはスクラムインとスローインのとき、状況判断能力が上、中、下と推定されるプレーヤーを各1名がどこを注視していたかを調べたものである。
状況判断がいいプレーヤーの注視時間は短く、注視点の数も多かったという。また、注視する方向は三者ともボールを注視する時間が最も多かったが、状況判断のいい選手は他者にくらべてボールを注視する時間が少ないという。全体的に、状況判断のすぐれた選手はボールを見ることを中心としながらも、ちらちらと他の方向に視線を移して、ゲーム状況の把握をしていることが推測されるという。
◇ スポーツと目 21 どこに眼を向けているか サッカー
図16はゴールキーパーの注視点を分析したものである。AとBがボールを交互にパスしてゴールに近づくとき、熟練したキーパー(SKILLED)と未熟練のキーパー(UNSKILLED)では、どこに注目して状況の把握をしているかを注視点から調べたものである。
一見してわかるように、熟練したキーパーの注視時間は短く、視点の移動は頻繁である。これに対して未熟練者は1回の注視時間が長く、視点の移動が少ない。また、未熟練者はボールの動きに眼がつられてしまい、ボールを追いかける傾向があるが、熟練者はボールよりプレーヤの動きに注目する傾向がある。また、熟練者の特徴の1つは、プレーヤーとボールのあいだに注視点を停留させることである。これは、キーパーは短い時間にできるだけ多くの情報を選択しなければならないので、周辺視を活用して必要な情報を取捨選択しているからではないかとしている。
中山は、プレーヤーとボールの動きをVTRにとり、上位レベルと下位レベルのキーパーがVTR画面のどこに注目するか、両者の違いを調べている。これによれば、下位レベルのキーパーはボールを追う傾向があり、また、注視点の移動が少ないのに対して、上位レベルのキーパーは注視頻度が多く、かつ、1回あたりの注視時間が短い結果がえられている。これは先の結果とほぼ同じ傾向である。
また、ペナルティキックに対してゴールキーパーがどのような注視行動をするかを調べた河合らは、ゴールキーパーはより多くの情報を得るために、時間的にギリギリまで状況をみて判断する傾向があると報告している。
このような注視分析の結果をみると、能力の高いゴールキーパーと低いゴールキーパーはどこに眼をつけるか、いいかえれば、状況のとらえ方に明らかな違いがあることがわかる。
◇ スポーツと目 20 どこに眼を向けているか バスケットボール
フリースローをおこなった場合のシューターの注視点とその動揺についての研究によれば、フリースローを始めてからボールがリングを通過するまでの視線は、未熟練者には注視点(視点)の激しい動揺があるが、熟練者にはこれが少ないという。また、未熟練者、熟練者ともにシュートの成功率の高いものほど動揺が少ない傾向があるという。
次に、パスを受け取ってから、シュートするまでの眼球運動を調べた結果によれば、シュートが成功したときには、パスを受けてからボールが手から離れるまでの一連のシュート動作中のかなり早い時期に眼球運動が停止している結果が得られたという。この研究では、そのときどこを注視していたかはわからないが、少なくとも、シュートが成功するときには視点の動揺が少ないことを示唆している。前の結果と合わせると、シュートの成功には視点を一点に定め、動揺させないことが大切であることがわかる。
◇ スポーツと目 19 どこに眼を向けているか 注意点
人が対象のどこを見ているかは、視線(眼球運動)を分析することによってわかる。眼球はつねに何らかの運動をしていて、完全に静止した状態はない。しかし、見たい対象を中心視でとらえる場合、視線はある時間、視野内の一点にほぼ静止した状態になる。これを注視といい、注視する対象の範囲を注視点という。視線の停留点もほぼ同じ意味に使われている。視線の動きが5°/sec以内の場合、注視している状態とされることが多い。
眼球運動の検出法は各種あるが、近年の情報処理システムの急速な進歩により、すぐれた注視点解析装置が開発されている(写真2、3)。いずれも、超軽量のCCDカラーカメラにより、注視点を視野画像上にスーパーインポーズし、コンピューターで高速解析処理するシステムである。
このような視線解析は、人工工学、心理学、教育、医学といったさまざまな分野で活用されている。スポーツでも多くの研究がおこなわれているが、他の分野と違って、装置を身につけて激しい動きをするのにはおのずと制約がある。このため、比較的動きの少ないスポーツや動作では、実際にプレーをしている状態での注視点の測定がおこなわれているが、動きの激しいスポーツではこれが難しいため、VTR画面や16mmフィルムに映しだされるスポーツ場面のどこを注目するかを、注視点から求めるという手法がとられることが多い。
しかし、今後は、軽量、コンパクト、テレメートといったこれらの装置によって、かなり動きの激しいスポーツでも実際にプレーしているときの注視点の研究が急速にすすむものと思われる。
注視点を分析したいくつかの研究を紹介する。
◇ スポーツと目 18 眼がいいとは
スポーツ、なかでもボールゲームで「あの選手は眼がいい」というのは、ゲームの状況判断がよく、状況に応じて適切なプレーができることをさすのであって、眼そのものがよいことではない、というのが常識的である。
スポーツにおいて「眼のよしあし」がとくに問題にされ、しばしば話題になるのは野球である。野球にはバッティングアイ、運球眼という言葉があるし、これに類する投手のくせに見抜いて盗塁する眼などもある。
平野によれば、野球で問題になる「眼」は感覚受容器としての眼をさすものではないという。外部からの刺激に対して反応するという、知覚ー運動システムのなかの「眼」であって、しかも、システム全体が円滑に働いているときにのみ「あの打者は眼がいい」と使われるという。
ピッチャーの投げたボールをスウィングするまでのおおまかな知覚ー運動システムは、感覚器を通して入力する視覚情報→ボールの判断→スウィングパターンの選択→筋への指令→スウィングである。この一連過程が円滑に働く打者ということになる。つまり、ボールがカーブしていることはわかるが(感覚器→ボールの判断はいい)、それに応じたカーブ打つちができない選手を眼がいいとは言わないということである。
バスケットボール、サッカー、ラグビー、バレーボールなど多くの選手が複雑に動き回るボールゲームでは、状況判断のよしあしは重要である。
中川がボールゲームにおける状況判断の重要性を指摘し、状況判断には
@プレーするさいに状況がいかにあるかを判断するという知覚的な部分
Aそれに加え、目下の状況で何をなすべきかという判断
の意味があるが、後者には前者が含まれていて、状況判断といえば後者の意味で使われるのが一般的であるとしている。またよく使われるゲームセンスという言葉は、状況判断能力と同義ではないかと指摘している。
さらに中川は、ボールゲームにおける状況判断には、次の4つの構成要素があるとし想定している。
@外的ゲーム状況に対する選択注意
Aゲーム状況の認知
Bゲーム状況の予測
Cプレーに対する決定
このうち、ゲーム状況に対して選択的に注意することについて、眼の感覚器機能の限界や、プレーの時間的制約があるから、ゲーム状況のなかから価値のない情報を捨て、価あるものだけを選択することはプレーにとって不回避なことであるとしている。
状況判断のよしあしといった場合、広義には@〜Cの過程をへて遂行されたプレーの良否が間違いになるが、状況判断をゲーム状況に知覚する能力、というとうに狭い意味に限定した場合、日頃使われる「眼のよしあし」はゲーム場面に選択的に注意を向け、必要な情報を受容する能力のよしあしとみなすことができる。どこに眼を向けるか、いわゆる眼配りとか、眼のつけどころと言われるものである。
どこに眼を向けているかは、視線の方向からある程度推測することができる。
◇ スポーツと目 17 瞬間視(チラッと見る)
以上は、視野の一般的な定義である眼を動かさずに見える範囲であった。スポーツっでゃ、顔や、あるいは眼だけサッと動かして対象をとらえることも大事である。ポールゲームではインプレー中に眼を止めてどこかをじっと見ることはまずない。瞬間的に要所要所をチラッと見ることがほとんどである。瞬間に周囲の状況をとらえる選手も視野が広いということになる。
瞬間的に周囲を見る必要があり、かつその能力が問われるのはサッカーやラグビー、アメリカンフットボールのように、多人数でしかも敵と味方が入り乱れるスポーツである。
このようなスポーツでは、選手の背後から神の声といわれる的確な言葉を送る「指令塔」と呼ばれる選手がいるのがつねで、ゲームの状況をもとに最良のプレーの指示を出している。ほんのわずかの間に相手チームの守備の弱点を見つけ、味方に的確な指示を送るプレーは驚くばかりである。この状況の把握のもとになるのが瞬間視、チラッと見ることである。ゲームの状況判断能力は次章で述べるので、ここでは瞬間の知覚についてみることとする。
私たちは瞬間的に見たものを、どれくらい正確に知覚することができるだろうか。これを調べる実験として、タキストスコープ(瞬間露出器)を使ったものがある。たとえば、3行×3列の文字や数字を0.1sec程度、瞬間的に見せて、見えた文字や数字を全て報告させるというものである。この方法で調べられる瞬間の知覚は、短期視覚情報の保存と関係があるといわれている。0.1sec、あるいはそれ以下という瞬間に数字が示され、さて数字は何だったか忘れてしまうということがしばしば起きる。
報告する数よりもっと多くの数字が見えたのだが忘れてしまうというのは、数字がパターンのい認知などにかかわる処理をまだ受けていない状態のまま、Iconic Strage(アイコン)と呼ばれる機構に一時的に保存されているためであるという。アイコンは時間とともに消えてゆく写真のような性質であるといわれ、その持続時間は約0.27secと推定されている。
スポーツでは動くものの瞬間的な知覚のほうが大事であろう。動くものを瞬間的に知覚する能力はどうであろうか。
斜面に1〜10個の間の任意の数の球(直径1cm)を転がして、見える時間を0.35〜0.45secに制限したとき、いくつの数までなら正確にわかるかを調べた実験がある。これによれば、0.35〜0.45secという提示時間内で正確に数の知覚ができるのは3個までで、4個以上になると正答率がしだいに減少し、7個以上では正答率が50%をきっている。
この実験は見えている時間が一定であったが、今度は見えている時間を変えた場合どうなるのであろうか。提示する時間を0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、1secの6種類にして、同じく、いくつ知覚できるかを調べると、全員(100名)が4個より少ない数では0.1〜0.3secという短い時間でも個数を正しく回答している。
この実験では静止している視標も調べている。静止している場合には4個以内の数なら0.01〜0.05secというごく瞬間的な時間内でも正しく回答している。つまり、知覚できる数に限界があること、止まっているものの数はごく瞬間的にわかるが、動いているものはそれに比べてはるかに時間がかかることがわかる。
90%の正答率が得られるのを瞬間的な把握とすると、対象が動いている場合でも静止している場合でも、その限界は4個であるという。数が4個をこえる場合には、提示される時間が少なくなるにしたがって正答率は減少してゆく。
このような、一目見正しく言い当てることのできる数は、知覚範囲、あるいは注意の範囲と呼ばれている。これまでの研究では、提示時間が0.1sec程度であれば、止まっているものを100%いいあてることができるのは4個が限界であるという。正答率50%まで下げれば7〜8以上は、0.1secほどの、ほんの一瞬の間の認知で、実際のスポーツではこれほど短い間に瞬間的に見て判断しなければならない場面はまずないだろう。また、チラッと見るときにも、いまはどのような状況かというように、対象を意味あるものとしてとらえている。すぐれた選手が瞬間的に判断、指示ができるのは「見るべきところ」がわかっていて、そこから的確に情報を取り込めるからと思われる。
◇ スポーツと目 16 テニス
中心視しつつ、同時に周辺視でまわりが見えている選手が視野の広い選手ということになるこのような視野の広さは、すでに述べたように対象への注意の向け方と関係が深い。
例として、テニスのクランドストロークをとりあげてみよう(図15)。いま、相手チームAの打ったボールをグランドスクロークで返そうとしているプレーヤーは、少なくとも次の3つを瞬時に判断しなければならない。
@どこでスクロークすればいいか(どこにボールが飛んでくるか)
飛んでくるボールの速度、回転、コース、高低から、さらにコート条件、風向きも勘案して、どの位置にスクロークするべきか。
Aどのようにスクロークするか
飛んでくるボールの速度、回転などを考えて、ボールをどの位置でとらえ、ボールに与える回転とスピードをどのようにするか。
Bどこにスクロークするか
相手プレーヤーの位置、くせ、戦況などを勘案して、どのような球種のボールをどこにスクロークしたらよいか。
初心者の場合、@どこで打ったらいいか、あるいは、Aどのように打ったらいいか、に注意の大部分があると思われる。このようなときには、ボールを見ながら同時に周囲の状況をとらえることは難しい。打ってからはじめて、相手プレーヤーの存在に気づくことも珍しくない。もし、注意を周辺の把捉に向ければ今度はスクロークがうまくできんくなる。
@、Aがすでに「自動化」されている熟練者では、Bどこに打つかに注意のほとんどを向けることができる。ショットの判断に必要な相手プレーヤーの動き、たとえば、Bがボレーに出ようとするわずかな動き、Aがネットに詰めてきたこと......などをはじめとして、相手の2人のプレーヤーの間隔、さらに奥行きの深さまでもが、ボールを見ながら同時に視野の周辺で見えている。そして、それをもとに、ストロークを打つか、ロビングをあげるか、強打か、柔らかく落とすかなどを決定する。初心者の眼(網膜)にも熟練者と同じようにA、Bプレーヤーの動きは映っているが、注意を向けないものは知覚されない(見えない)のである。
他のボールゲームの例として、バレーボールでは、スパイクを打つときに、トスされたボールを見ながら同時に相手ブロックの人数、位置、高低、タイミングなどを周辺視でとらえ、打つコース、強さ、フェイントするかを瞬間に判断している。優秀な選手になるとブロックだけでなく、レシーバーの動きまで見えることがあるという。もちろん、最初からこのようなことはできないが、ボールを見ながらも意識的に周辺に注意を払うことにより、しだいに相手の様子が見えるようになるという。
テニスやバレーボールにかぎらず、熟練した選手に共通するのは、周辺への注意の向け方漠然としているのではなく、ゲームの状況のなかで、視野内のどこに、いつ、どれくらい注意を向けたらいいかがあらかじめわかっていて、しかもそれが的確にできることである。このような選手が視野の広い選手であり、これは生理的な視野の広さとは、本来、無関係である。
◇ スポーツと目 15 柔道
柔道の目ののつけ方は、「眼の位置の前方よりも高くなく、低くなく、広い野原に立って遠い山を、あるいは1本の大木を眺めるように、一定のところを凝視せず、意識的に眼を用いることなく、視野にあるものはことごとく眼に移す」という使い方が強調されている。このように、眼球を動かさず、まばたきを少なくし、動く相手をよく注意できる目の付け方は技術的に大きな効果をもたらすという。実際に、柔道鍛練者は非鍛練者にくらべて一点を注視するときの視線の動揺が少ないことがわかっている。
また、柔道では、古来から、視野全体に注意を配る目の付け方を「観の目つけ」、相手の一部分を注視するのを「見(けん)の目つけ」と呼んでいる。「観の目つけ」、「見の目つけ」のどちらが有効であるか実験がおこなわれている。視野内に現れた刺激をできるだけ速く注視するという課題では、刺激に眼を向けるまでの反応時間には「観の目つけ」「見の目つけ」での平均値には違いはなかった。しかし、「観の目つけ」のほうは安定的であるが、「見の目つけ」では反応時間のチラバリが大きいので、やはり、視野全体に注意を配る「観の目つけ」が有効であるとされている。
◇ スポーツと目 14 剣道
剣道には、「遠山(えんざん)の目つけ」という言葉がある。これは、遠い山を見る場合、たとえば、山の頂の一本杉を中心にして、山全体を見るように見ようということである。ただボーッと見るだけでは何も見えない。どこかに中心をおいて見なければならない。剣道では相手の眼である。相手の眼を中心にして全体を見る。相手の手の動きなどに眼をやってはならないという。竹刀、足の動きなどのどこかに相手の攻撃のキザシがある。それを周辺視でとらえるというのである。
また、目を見張ってはならない。目は「観音の目」であれともいう。目を見張れば目筋力が入り、それは身体全体に影響するという。目を見張ること、つまり相手の眼を凝視することは中心視に極端に注意を集中することであり、それは周辺視での把捉がおろそかになることにつながるからであろう。
◇ スポーツと目 13 スポーツにおける視野の広さ
ボールゲームでは、「ボールをよく見る」ことが上達の宝石であるが、ボールだけ見てプレーをすればいいのではなく、「同時に、まわりをよく見ろ」とも言われる。ボールを見ながらまわりも見るというのは矛盾しているが、ボールの位置、スピード、方向などは中心視しつつ、同時に周辺に気を配り、周辺から情報を得ようとするのはボールゲームだけではない。
◇ スポーツと目 13 有効視野
スポーツでの視野は生理的視野の広さより、池田らのいう有効視野のほうが実効上、意味がありそうでもある。一般に、視野の広さはあらかじめ視標に提示される方向がわかっていて、しかも注視点(中心視)は無負荷の状態で測定される。
これに対し、池田らは視標が周辺視野のどこに提示されるかわからない状態にしておいて、しかも視標を他のものと識別する能力をとりあげている。中心視に非常な注意を払わなければならないような注視負荷をかけると、視野がどのように変るかを調べ、このような場合に知覚の及ぶ範囲を「有効視野」と名づけている。
図13が池田らが用いた負荷刺激の一例である。背景パターンはやや不規則な三角型、ターゲットは★、注視すべき負荷はpqである。これらが同時に250m secの間、提示される。被験者は中央の視標が何であったかを報告し、かつ★が周辺のどこに出たか、その位置を報告するものである。
注視すべき負荷を簡単なものから、たとえば意味が不明な文字のような、強く注意を払わなければならない負荷までいろいろ変えている。得られた結果は複雑であるようだが、
・注視しなければならない負荷が強いほど有効視野は狭くなる。
・有効視野は練習効果がある。
・個人差が大きい。
としている。
同じく、有効視野に関してエンゲルは興味ある実験をおこなっている。中心視をさせながら周辺にターゲットを提示するのは同じであるが、あらかじめターゲットの出る方向を知らせておき、眼球運動を起こさないようにさせて、被験者にその方向に注意を向けるところを特定すれば、そこでの識別能力が高まるわけである。
注視sるる対象によってダイナミックに変化している視野現象は、私たちの身のまわりにも多い。身近ま例は運転中の視野の狭窄である。一般に、速度が上がると視野が狭くなることは知られている。図14のような方法で、ドライバーから30°、60°の位置に発光器を取り付け、運転中にランダムに発光させ、発光に気が付いたらハンドルに取り付けた反応キーを押させる。速度によって見落としがどれぐらいになるかというものである。速度が上がるにつれて見落とし回数が増加し、視野が狭窄していることがわかる。速度があがるほど前方に注意を払わなければならないから、相対的に周辺の注意がおろそかになり視野の狭窄が起こると考えられる。
このように、視野内のある対象注視すると、周辺のものが知覚されないことは、ナイサーのいう選択的注視と関係した現象である。ナイサーらは、二人の人物が「ハンドゲーム」と呼ばれるゲームをしている場面と、三人がボールゲームをしている場面を合成してテレビ画面に映し、観察者には片方のゲームにのみ注意を払うように要求した。ハンドゲームを注視する場合には手を打ったとき、ボールゲームを注視するときにはボールを投げたときに反応キーを押すようにさせたところ、見落とし率は約3%ほどで、それぞれのゲームを単独で観察させたときとほとんど変らない程度に容易にできたという。ナイサーは、これは視覚的に重なり合ったものを取り除くといった特別なフィルターがとくに備わっているからではなく、注意をしている出来事だけが予測・探索・情報抽出のサイクルのなかにくり込まれ、注意を向けていないものはたんに無視する能力が備わっているだけであるとしている。
このような機構が私たちにあることが解明されたわけではないが、注意を払う対象だけが知覚され、注意を向けないものには知覚されない(見えない)とすれば、スポーツにおける視野の広さは選択的注視そのもである。
◇ スポーツと目 12 スポーツにおける視野の役割
[1]周辺視野とバランス
このように、図形や文字の認知では視野は重要な役割があるが、では、スポーツにおいてはどのような働きをしているのであろうか。
スポーツは視野に入るものはボールや選手、あるいは、用具、施設というようにあらかじめ何であるかがわかっている場合が多く、しかも範囲はほぼ視野全体に広がっているので、図形や文字の認知のさいの視野の役割とは違っているかもしれない。
これまでのところ、スポーツにおける視野の役割として系統的に研究されたものはないが、身体の平衡性や、距離の見積もりというスポーツにとって基本的なことと関係があるんことは知られている。
身体の平衡性は内耳機能、筋感覚からのフィードバック、および視覚の三者によって保たれているが、このうち視覚からは主として周辺視からの情報を利用しているという。小さな穴をあけたボール紙で眼を覆って片足立ちをしてみると、うまくバランスがとれない。これはバランスに必要な周辺から入る情報が遮断されたためである。
バランスの保持のいおける視覚の役割は、身体が動揺することによる視野内の物体の相対的な運動を知覚し、得られた情報を姿勢調節にフィードバック、あるいはフィードフォーワードすることにある。そのため、運動の知覚とか、相対的な位置感覚にそのおもな働きがある周辺視野からの情報が姿勢制御に与える影響が大きいという。
実際に視野制御メガネで視野を制限して、バランスがどのようになるかを調べてみると、制限された視野の面積が大きくなるにしたがってバランスもわるくなり、とくに、網膜捍体細胞の密度が高い視野の部分が制限された場合に動揺が大きい。これは、微分回路的な処理機能をもつ網膜杆体機能からの情報がなくなるためではないかと考えられる。
[2]周辺視野を遮蔽する
指で輪をつくって眼にあて、それを通して見ると、見ているものまでの距離は遠くに感じられる。視野は距離の見積もり」にも関係しているわけである。スミスらは。視野制限をしない場合と、三種類の視野に制限した条件を設定して、距離の知覚にどのように影響するかを、3〜8mという距離から的にソフトボールを投げるという方法で調べている。その結果は、視野を制限すると、制限しない場合よりボール投げが困難になり、的までの距離を遠くに感じる影響が出るという。広い視野があってはじめて正確な距離感覚が可能であることがわかる。
視野が制限されるとスポーツのパフォーマンスにはどのような影響が出るのであろうか。これを知るために、クレストフニコフらは、投てき競技、スキー、スケート、体操で、周辺視野を遮断して周辺からの視覚情報を利用できないようにしたときの影響を調べている。
スポーツによってその影響はさまざまなようである。投てき競技では、方向の乱れと距離が短くなること、スキーでは、転倒、旗門不通過などが起き、スケートでは定められたフィギュアのレースが困難になったという。また、体操ではひねり動作のときのタイミングの乱れなどがあったという。
著者も制限メガネをかけて周辺視を制限したとき、野球の遠投とバスケットボールのフリースローにどのような影響が出るかを調べてみた。図12は、大学野球選手の右投げの外野手14名が、ホームベースに対して85mの位置から5mステップして、本塁にバックホームを想定した遠投をしたときの、ホームベースからの反れ(角度)と、ベースの手前どれくらいに落下したかの結果である。本塁上に旗を立て、方向の目安にしてある。
視野を遮断しない場合が反れが最も少なく、ほぼ2°以内で投げることができた。完全に視覚を遮断(閉眼)してしまうのが最もわるく、約5°の反れである。
周辺視野を遮断して見える範囲を90°、50°......と狭くすると、狭くなるにつれてしだいにボールの反れの度合が大きくなっていく。落下点は、視野のいかんにかかわらず、だいたいホームベースの手前6mぐらいに落下している。つまり、野球の遠投では周辺視野を遮断すると、それに応じて方向性のコントロールが低下するが、距離のコントロールには影響しないという結果である。
同じように、バスケットボールのフリースローの成功率も周辺視野が遮蔽されるほど低下している。通常、水平視野は180°ぐらいであるが、見える範囲を35°に制限しても、フリースローの位置からはリングはもちろんのこと、バックボードも完全に視野に入っている。しかし、成功率は低下する。周辺からの情報がカットされると、距離感覚やバランスに微妙に影響するのかもうぃれない。
おそらく、視野はこれ以外にもさまざまな働きをしていると思われる。日ごろ、顧みられることの少ない視野であるが、視覚の裏方として重要な役割を担っているようである。
◇ スポーツと目 11 広い視野の役割
スポーツとは少し離れるが、ここで視野の役割とは何かを考えてみよう。
視力がよく、色の識別にすぐれているのは網膜中心窩であることはすでに述べた。中心窩はきわめて小さく、視野の大きさでいえば5m離れた距離にある切手に相当する大きさが中心窩視であるといわれる。中心窩を離れるにしたがって、視力や色彩感覚が急激に低下する。
このことは次のような簡単な実験からもわかる。まず、人差し指を立てて腕を伸ばし、指先を見る。指さしている先のものはよく見えている。次に、視線はそのままにして指をゆっくり外側に動かす。指1本が視覚で約1°に相当する。視線から5本分(約5°)離れたところにあるものの形、色の識別ができるだろうか。5°離れただけで、形や色の感覚が急激にわるくなっているのに気がつくと思う。さらに周辺では急激に低下し、最周辺ではもはや指の存在もわからないほどその感覚は劣っている。
このように視野のなかで中心視のみがすぐれた機能をもつという、極端に中心視に重点がおかれているのが私たちの視覚である。では、この中心視以外の広い視野は何の役にも立っていないのであろうか。
視野の周辺部は視力が低く、細かいものをはっきり見たり、色を識別することは劣っているが、動くものや点滅する光のように、時間的に変化するものを感覚することは、中心部に比べてそれほど劣っておらず、むしろすぐれた機能を発揮することもある。たとえば、視野の片隅で古くなった蛍光灯がチラチラしているのを感じたとき、そこに眼を移す(中心視)とチラチラを感じないことがある。ふたたび、視線をそらして周辺のほうで見るとチラチラしているのが感じられるというのは、周辺のほうがこのような感覚にすぐれている例である。また、テレビやパソコンの画面を中心視してもチラチラは感じられないが、ちょっと視線をずらして視野の片隅で見るとわかるのも同じである。このような感覚は桿体機能と関係があると考えられており、細胞密度が高い20°付近で最も強いという。
ものの動きが知覚できるためには、運動の速度が速すぎても、また、運動の距離が短すぎても知覚できない。運動速度と距離がある範囲以内にあることが必要である。福田によれば、視野の中心部は微小(低速、短距離)な運動に対して感度が高く、周辺部は高速運動の近くにおいてすぐれた機能を発揮していて、微小運動に対しては中心視、高速運動に対しては周辺視というように機能を分担しているという。
つまり、視野の周辺は、物の形がどのようであり、何であるかを検出するよりも、視野のなかで「何か動いた」という感覚を起こさせること優先しているものと考えられる。動きを検出するレーダーとしての役割が基本的な働きである。
周辺視で動くものを検出し、その情報によってそれが何であるか細を識別するのは中心視という機能分担しており、両者をつなぐものが眼球運動である。周辺部の刺激が手がかりとなって眼球う運動が起こされるが、この反射はきわめて正確、迅速になされる。
最近では、視野の周辺部は、たんに対象を見つけ出すことに役立っているだけでなく、広い範囲を中心視と同時に見ていることは明らかにされている。こに研究 いは眼球の動きを光学的に検出して、結果的に周辺視ができないようにして図形を観察する装置が使われている。
この方法による観察例が(図10)である。この被験者は、図の右下の大きさに視野を制限され、中心視だけで「やっとこ」の図を観察した。右がその視線移動の軌跡である。軌跡がそのまま「やっとこ」の図になるほど被験者は図の隅から隅まで観察した。観察時間は62秒であったという。被験者にはこれが「やっとこ」であることがわからず、アルファベットの「f」と答えたという。この結果は、中心視だけではものの形は識別できず、中心視しながらも同時に周辺視からの情報も統合して識別していることを示している。
では、私たちはいったいどのくらいの範囲を同時に周辺視で見ているのであろうか。たとえば文章を読むさい、文字を1字ずつ読んでいるのいか、あるいは、いくつかに文字をまとめて読んでいるのか、もし、まとめて読んでいるとすればそれは何文字であろうか。
一度にまとめて処理される文字の数をPerceptual Spanとよんでいるが、英文の場合には、注視した文字の10文字までは目を動かさなくても読んでおり、15文字までは英語の長さといったおおまかな情報が取り入れられ利用されているという。日本語のSpanは図11のようであるという。この範囲はかなり広く、10文字程度をまとめて処理しており、視野の広さでは約10°ぐらいの範囲に相当するという。
◇ スポーツと目 10 スポーツ選手の視野
目標とはまったく違う方向にすばやいパスを出すバスケットボール選手のプレーには、よくあそこまでみえているものと、ただただ感心するばかりである。
「あの選手は周囲がよく見えている」とか「あいつは後ろに眼がついているようだ」という表現は、すぐれた選手は視野が広いことを経験的にいったものである。
ウィリアムスらは、実際にスポーツ選手は視野が広いかを大学スポーツ選手82名(男子53名、女子29名)と非スポーツ選手50名(男子25名女子25名)の水平視野と垂直視野で比較している。
これによれば、スポーツ選手の視野は非スポーツ選手のり広く、水平方向で約185°、垂直方向で122°あり、非スポーツ選手との差はそれぞれ。17°、11°であったという。性差については、男女間で有意差があったのは垂直方向の視野で、男性のほうがお上下視野が狭く、これはスポーツ選手、非スポーツ選手とも共通であったとしている。
わが国では、大学ラグビー選手をA、B、Cクラスにわけ、競技レベル別に視覚機能を比較した研究によれば、視野の広さは水平視野でそれぞれ185・1°、182・6°、182・8°で、群間に有意差がなかったという。垂直方向も、それぞれ、119・8°、115・4°、115・5°で同じく有意の差ではなかったという。
これらの研究で測られている視野は一般に生理的視野と呼ばれるものである。この広さを決めるものは、視標の明るさとか大きさなどの物理的要因の他に、明窩の形状などの形態も関係している。男性のほうが女性より上方視野が狭いというのも、男性の眉骨の隆起が女性よりやや大きいということに関係している。
この生理的視野の広さは、絶対的視野ともいわれるもので、いわば静的視野である。後述するように、視野の広さは、心理的な要因によってつねにダイナミックに変動しているので、生理的視野よりも心理的視野とか動的視野と呼ばれる視野の方がスポーツでは意味をもっている。
◇ スポーツと目 9 スポーツ選手はDVAもよい
スポーツ選手は左右に動くものを明視する能力であるDVAもすぐれているようである。ルースらは、大学の野球選手18名と、非スポーツ選手25名のDVAを比較している。半円型のスクリーン上を視力値0.8に相当するランドルト環を移動させ、最高速度が100/secからスタートして、どのくらい速度が低下したときに、切れ目の方向が判別できるかというものである。その結果、非スポーツ選手が平均69.6+−・3/secであったのに対し、スポーツ選手は平均83・9+−18.8/secと、有意にスポーツ選手がすぐれていたというのである。
彼らはスポーツ選手のDVAがすぐれている理由について、素質的にスポーツ選手は能力が高い、あるいは練習をくり返すことによるトレーニング効果、という二つを考えているが、先のKVAのトレーニング効果からするとDVAも日頃のスポーツによる練習効果とみるのが妥当ではなかろうか。
先に、KVAの動体視力は速度が速いほど低下も大きい、としたが、DVAの視力も対象の速度が速いほど低下する。低下の度合について、メスリングらの実験によれば、静止視力が約1.3であれば視標が30/secで動くときには1.0になり、50/secでは0.8に、100/secでは0.6に低下するという。視力が低下する原因は、高速(60/sec以上)で視標が動くときには、対象の速度が速いため、網膜の視細胞レベルでの受容がうまくいかないことが視力低下のおもな理由で、低速(50/sec以下)では、追跡するときに対象が中心窩をはみだしてしまうという眼球運動の問題であるとしている。
以前、「スポーツ選手の眼」をとりあげたテレビ番組のなかで、スポーツ選手のDVAに関しておもしろい実験をおこなっていた。新幹線のホームに立ったアイスホッケー日本リーグのゴールキーパーの選手に、眼の前を通過する列車の窓にはられた文字が読めるか、といものであった。この人には、たんに窓に文字が一つ書かれていることだけ知らされ、何両目か、文字が何であるかなどはいっさい知らされていない。にもかかわらず、このキーパーは眼の前を時速200km(秒速55m)で動くものも難なく判読できるのである。文字の判読は網膜中心窩にとどめなければできない。文字らしきものが視野内に飛び込んできたら、ただちにそれに正確に眼が跳んで(saccadec movement)、スムーズな眼球運動(smooth pursuit movementおそらく、頭も一緒に動いている)で、文字を中心窩にとらえながら一瞬のうち判読する。このような選手は、中心窩から文字をはずさないように「眼球運動+頭」を動かすことが非常にすぐれているのではないかと考えられる。
◇ スポーツと目 8 バッテイングと動体視力
動体視力(KVA)は直進してくる対象を明視する能力なので、ボールを打ったり、キャッチしたりする野球、テニス、卓球、バドミントンなどでは、動体視力のよしあしはパフォーマンスと関係が深いと考えられる。動体視力がよければ、いいパフォーマンスが得られるわけではないが、少なくとも動体視力がわるい場合には影響はあるだろう。なかでも、ピッチャーの投げたボールのコース、球種などをすばやく見きわめなければならない野球では、動体視力のよしあしは関係が深いと思われる。
図9は、東京代表とし都市対抗野球にしばしば出場するT野球チームの選手が50回連続して動体視力を測定した結果である。監督・コーチの判断でAクラス(競技力にすぐれ、スターティングメンバーとして信頼されている)、Bクラス(交代要員の選手)、Cクラス(公式戦にまず出場する機会のない選手)にわけている。これによると、クラスによって静止視力にも違いがあるが、この差はほんのわずかで、静止したものを見る能力はほとんど差がないとみてよい。ところが、動体視力は明らかにA>B>Cの順にすぐれている。しかも、A>B>Cの順に測定値のバラツキが少ない。
つまり、動くものを見る能力は静止視力からは予測がつかないこと、また、競技力と関係がありそうである。この場合ではとくにCクラスの低下が極端である。Cクラスの選手のボールの見え方は、文字どおり「ボールがよく見ていない」状態で、Aクラスの選手とは明らかに違っていると思われる。バッティングや守備力がすべての動体視力のよしあしで決るわけではないが、ボールがよく見えるかどうかはかなりな影響を与えているであろう。
さて、動体視力はつねい一定値をとるのではなく、身体のコンディションなどに影響されて変動する。このため、打撃不振におちいったプロ野球のすぐれた選手のなかには「ボールが止まっているように見えた」とか「ボールの縫い目が見えた」という経験を語る人がいる。川上哲治さん、王卓治さんも現役のころ、そのような経験があったという。一流の卓球選手のなかには、高速でスピンするボールの商標マークが一瞬見えることがあるというのも同じような経験である。
実際に見えたのか、あるいは見ようと思っているいことが見えたように思う錯覚ということも考えられる。どちらにせよ高度に集中しているときらしく、調子のよいときに限られるようである。「今日はボールが速い」とか「ボールが走っている」とバッターがいうときには、実際にピッチャーの球が速いこともあるが、バッターの調子がわるくてボールがよく見えないときや、心理的に負けているときが多いようだ。ピッチャーの投げた時速140kmにもなるボールが止まっているように感じたり、縫い目が見えたりするのは、たんに動体視力がよいだけではなく、ボールの動きを滑らかに追随する眼球運動、強い足腰に支えられた頭部の安定、あるいは球趣やコースの読みの的中、集中力などのすべてが良好な状態にあるときではないかと考えられる。
動体視力とバッティングの成績を調べた研究がある。大学の野球選手を対象に動体視力のよしあしとバッティングの成績を比較したものである。これは練習時のバッティングの当たり具合を、よい当たり(クリーン当たり)と、わるい当たり(いわゆるボテボテ)にわけたもので、動体視力のよい群はクリーンな当たりが総打数の63%であったのに対し、わるい群は54%で有意な差があったという。ところが、試合のときの打率で比較すると、動体視力のよい群、わるい群の間には打率に差がなかったというのである。
試合では、たとえば走者を累上においたときのバッティングとか、配球の予測などさまざまなことが絡むので、打率と動体視力は関係がないことはむしろ当然といえるだろう。しかし、フリーバッティングのように、的確に当てることを主体としたバッティングでは、動体視力のよいほうがうまく打てるようである。ボールを明視する能力が高いことは、うまくバッティングできる基本的な能力の一つであるようだ。
◇ スポーツと目 7 動体視力のトレーニング
前述したように、わが国の動体視力研究経緯は、主としてドライバーの交通視覚の分野が主であったため、これをスポーツに応用した研究は少ない。
山田はスポーツと動体視力の関係について多くの研究をおこなっている。そのなかでスポーツ選手は動体視力がすぐれており、また動体視力はトレーニングによって向上するとしている。山田の実験は次のようである。
大学生のスポーツ選手(ボールゲーム)と、日常、スポーツをしていない大学生、各々10名を選んで21日間連続して、動体視力(KVA)の主因と考えられる調節能力をトレーニングしたものである。トレーニングとは、accommodo-polyrecorderという装置を使って、5mの距離のところと、その人の近点に視標を交互に提示し、これにすばやく眼の焦点を合わせることをくり返すものである。近点に提示された視標を明視できるまでの時間(これを調節緊張時間という)が短縮すればトレーニング効果があったと判定するものである。
その結果、日頃スポーツをしていない大学生の調節緊張時間は急速に短縮し(トレーニング効果があった)、21日間のトレーニングの終わりごろにはスポーツ選手とほぼ同じになり、しかもこの時間が短縮するとともに動体視力も急速に向上したのである。
一方、スポーツ選手もこのトレーニングによって調節緊張時間も短縮し、それに応じて動体視力も向上したが、スポーツをしていない人にくらべてその効果はわずかであった(図8)。
つまり、動体視力は調節能力のトレーニングによって向上すること、そして、それは日頃スポーツをしていない人に顕著であるということである。
パイロットや白バイ隊員のように、直進してくるものを明視することになる人の動体視力は、一般人にくらべてよいといわれる。動体視力のいい人がこれらの職につくわけではないだろうから、日常の業務がいつのまにか動体視力のトレーニングになっているとみるのが妥当だろう。したがって、スポーツ選手の動体視力がいいのも、日頃、動くボールを追跡したり、明視したりすることをくり返すことが、おのずと動体視力のトレーニングになっているからではないかと思われる。ただ、この実験を通して、スポーツ選手の動体視力の向上がほとんどなかったことは、すでにある域にまで達している場合には、動体視力の向上は少ないことを示唆しているようである。
◇ スポーツと目 6 動体視力の発達
一般に動くものを見るときの視力は低下しているが自覚的に感じないことが多い。動体視力(KVA)は、動くものの速度が速いほど低下が大きい。たとえば、静止視力が1.2であっても、時速30kmで動けば視力は0.9、60kmでは0.8に、100kmでは0.6ぐらいに低下する。
さて、このような動くものを見る能力は、いつごろから発達するのであろうか。
図7は、渡辺らが観測した満5歳から11歳までの幼児・児童の静止視力と動体視力の発達の様子である。(注→この測定では、反応時間の遅れが視力値に影響しない工夫がされている。)
まず、静止視力をみると、5歳児で静止視力はすでに1.25あり、その後、少しずつ向上している。10〜11歳の視力は約1.30である。3〜17歳の視力を測定した大江の結果では、5歳児の視力は1.19、6歳では1.12、7歳は1.32である。その後もじょじょに向上し、10歳では1.37、11歳では1.35で、渡辺らの結果とほぼ一致している。静止視力は5歳までに急速に発達し、すでに5歳児でほぼ大人並みの視力があり、その後は少しずつ向上して、9〜10歳ころまでにできあがるようである。
これに対して動体視力はどうであろうか。渡辺らの結果によれば、動体視力は5歳児ですでにお0.95である。その後、6歳から10歳までに少しずつ向上している。渡辺らは、動体視力は静止視力の発達に追いつくとしている。また、動体視力の発達に男女差はないとしている。
◇ スポーツと目 5 2つの動体視力
一般に視力といえば静止視力(Static Visual Acuity)のことである。日常生活では静止能力が重要であるが、交通視覚やスポーツの分野では動くものがほとんどなので、静止しているものを見る視力よりも、動くものを明瞭する視力の方が意味があるのではないかという考えがあり、視標を動かして動くものを見る視力(動体視力)を測定しようという試みが以前からおこなわれている。
動くものに対する視力の研究は、わが国と欧米、とくのアメリカとでは異なる経緯がある。ルドビッヒは、視標を円弧状に動かし、これを明視する視力の研究を重ねている。ルドビッヒはこのような視力SVAに対し、Dynamic Visual Aculity(DVA)と名づけている。
DVAは、円弧状のスクリーンにランドルト環を左右に移動させ、見る距離(視距離)を一定にして、切れ目の判読をするものである。どのくらいまで速度が遅くなったとき判読できたか、速度の低下率で測ろうというものである。視距離が一定なのでDVAに関係するのは、視標の動きに合わせて滑らかに動く眼球運動と視野の広さであるという。現在、アメリカの動体視力は、水平方向に動くものを見る能力という概念である。
一方、わが国では動くものに対する視力の研究は交通視覚がもとになっている。眼の前に直進してくるものや、自分が直進したとき、相対的に直進してくることになる対象を明視する視力という考えである。主として鈴村によって研究がすすめられた。鈴村は動く視標に対する視力を動体視力と呼び、直線的に遠方から眼前に近接する物体を明視する能力と定義し、これをKinetic Visual Aculity(KVA)と名づけられている。
動体視力計は、ランドルト環が50mの距離から眼の前に直進してくるように見えるレンズを使った装置で、標準的には視標は8.3m/secの速度で動くようになっている。直進してくるランドルト環の切れ目がわかったところでボタンを押し、何mの距離で判別できたか、その距離を視力値におきかえるものである。DVAが速度の低下率で表すのに対して、KVAは視力値で表すことができる特徴がある。動体視力計はその後いろいろな改良が重ねられ、現在では装置もコンパクトになり、視力値もデジタル表示されるようになっている。鈴村によれば、動体視力には眼の調節作用、網膜機能、中枢が関係しており、なかでも視標の動きに合わせた滑らかな調節作用がもっとも重要であるという。
DVAもKVAも、ともに対象が動いているので「視標の切れ目がわかった→ボタンを押す」という反応時間が含まれ、実際にわかったところより若干、視力値はわるく(低く)なる。したがって、とくに反応時間の遅い幼児、子ども、老人などの動体視力の測定では実際に視力がわるいのか、見えているが反応が遅いのかを考慮しなければならない。
◇ スポーツと目 4 メガネかコンタクトか
コンタクトレンズは、ずれにくい、ケガの心配が少ない、落ちにくい、曇らない、視野が格段に広いなどのメガネにはない利点があるので、スポーツでの視力矯正にすぐれている。しかし、ホコリで眼が痛い、長時間の使用で眼が乾燥するなどの、コンタクトならではの短所もある。とくに土ぼこりの立つような屋外コートや、風の強い日のスポーツではこれらのクレームが多くなる。
また、おもにハードレンズに多いが、ずれたり落ちたりすることがあり、競技中、コンタクトを捜すコンタクト・タイムアウトという場面もしばしば見受けられる。このような場合、レンズを落としてプレーが続けられないことのないよう、スペアーはつねに用意しておきたい。
メガネが不向きなスポーツは、サッカー、ラグビー、バスケットボールのように激しい身体接触のあるスポーツ、体操のような回転が多いもの、スキー、スケートのような眼鏡が抵抗の一部になったり、急激な温度差で曇るようなスポーツである。メガネでもさしつかえないのは、標的競技、ゴルフのような比較的運動量が少ない静的スポーツである。
ゴルフは中高年の人口が多いが、中高年はしだいに調節力が不足してくるので、遠距離よい視力が出るように矯正すると、スコアカードの記入や足元のボールに焦点が合わないという影響が出てくる。中間距離が明視できるような、累進部の広い連続多焦点レンズが適している。しかし、スポーツでの矯正からすれば特殊部類である。
コンタクトレンズの光学的な利点は不正乱視が矯正できることである。不正乱視は角膜表面の凹凸が不規則なため光が乱反射するもので、その多くは後天的に角膜の病気やケガで生じる。メガネレンズでは矯正できない場合があるが、コンタクトレンズは角膜表面に密着し、涙液がレンズと角膜の間をうめるので表面の凹凸がなくなるためである。
現在、コンタクトレンズにはハードレンズ(HCL)、ソフトレンズ(SCL)、酸素透過性ハードレンズ(GPHCL)があり、それぞれに特徴がある。ソフトレンズはレンズ怪が大きく動きが少ないことや、レンズが落ちにくいなどのほか、レンズが柔軟なためレンズによる眼への障害が少ないなどの利点ある。
視力矯正の原則は、まずメガネを考え、距離感や周辺視野に違和感を感じるようならば、次にハードレンズを、ハードの異物感に合わないときにソフトレンズを考えるのが原則である。
スポーツでの矯正をメガネでという場合、レンズによるケガや重さを考慮すればガラスレンズよりプラスチックレンズのほうがいい。プラスチックレンズとガラスレンズを比較すると、プラスチックレンズはガラスレンズの2分の1の重量で、衝撃に対する強度は2〜3倍あるとされている。
◇ スポーツと目 3 スポーツ選手の視力矯正
1990年度の学保健統計(文部省)によれば、児童、生徒の視力低下は年々すすみ、裸眼視力が1.0未満の割合は中学生で41.6%、高校生で56.4%(いずれも男女平均)もあり、いずれも過去最高を記録している。このうち、日常生活で不自由を感じる目安である視力0.3未満の増加はいちじるしく、中学生の17.6%、高校生の29.9%が0.3未満である。17歳(高校3年生)では31.6%と、ついに30%を超え、今後も増加の一途をたどるとみられている。
スポーツを盛んにおこない、選手としても成長する青少年の半数以上が視力1.0未満で、しかも、何らかの矯正が必要な0.3未満が30%というのがわが国の状況である。以前は、スポーツ選手は眼がいいと相場が決っていたが、これからは眼のいいスポーツ選手は希少価値になるのではなかろうか。
視力のよい人だけがスポーツをするわけではないので、今後、スポーツをする場合の視力矯正は重要な問題になってこよう。視力が低ければ、正確に矯正しなくてはならない。視力矯正によってパフォーマンスが向上することが期待できるし、また、安全上からも必要である。どこまで矯正したらいいかはスポーツによって違っているが、基本的には1.0を得られる視力までが、目安と考えられる。
実際に、スポーツ選手はどのように視力矯正をしているのだろうか。東海学生リーグに所属するスポーツ選手326名(男265名、女61名)、平均年齢19.8歳の調査によれば視力(両眼視、裸眼)が1.0未満のものは全体の41%である。アンケートによるものなので若干、正確さを欠くが、スポーツ選手の視力の実態を反映していると考えられる。
これによると、このうち、日常の生活で矯正している人はほとんどなく、0.7で43%、0.6で67%、0.5が90%、0.4以下は100%である。つまり、0.7が日常生活で矯正するかどうかの目安で、0.5以下ではほとんどの人が矯正しているようである。
さて、日常、矯正している116名のうち、スポーツでも矯正する人は約70%である。視力が、0.3以上ある場合、矯正する人は約33%であるが、0.2以下では83%が矯正している。スポーツでは、視力が0.2以下になるとほとんどの人が矯正せざるをえないようである。日常生活では矯正しても、スポーツではできれば矯正したくない、しかし、0.2以下では不自由なので、やむをえずという意識がうかがえる。
日常、矯正してもスポーツではしない主な理由として、メガネの場合、ずれる、けがが心配、落ちる、曇るなどがあげられ、コンタクトの場合、ほこりなどで眼が痛い、ずれる、落ちるなどがあげられている。このように、スポーツをするときには見え方に不自由を感じながらも、わずらわしさから矯正しない日人が多い。慣れればとか、勘にたよってスポーツをするというのが実際のようである。
この調査では、スポーツをするとき矯正は、コンタクトレンズ(CL)が70%をしめ、メガネは30%である。スポーツではメガネは少数派になりつつある。コンタクトレンズの種類は約75%の人がソフトレンズ、21%が酸素透過性ハードレンズを使用している。
◇ スポーツと目 2 視力不足のハンディ
人の能力のいわば出力側である筋力、持久力、敏捷性などの体力の諸要素は他者と比較できるが、眼は外界の情報を受容する入力側なので、自分の見ている外界と他者が見ているそれを直接比較できない。
代表的なものが視力である。一般に、「眼がいい」というときの「眼」は視力をさしている。同じ情景を見ながらも、視力のよい人に見えているピントのあった情景と、視力のわるい人のピンボケのそれとはまったく異なる情景であり、しかも、そこからもたらされる情報の質と量には格段の差がある。しかし、眼の機能からいえば、フォーカスの合ったシャープな影像が得られるのが正常なので、視力の良い人にはわるい人のピンボケの状態がどのようなものかは通常思いいたらない。ちなみに、視力のよい人(正視眼)がピンボケの状態を体験したければ、凸レンズをかければ、焦点が網膜の前で結ぶので、近視の人が見ているピンボケ状態を体験できる。また、水中の裸眼で見た場合のピンボケは、水の屈折率の関係から、網膜の後ろに焦点を結ぶ最強度遠視の状態である。
視力はスポーツに必要な視機能のうち最も基礎になるものでありながら、視力に対する関心が指導者にも選手にも少ないように思われる。たとえば、指導者がよい視力でである場合に、しばしば視力の低い選手への理解不足が見受けられる。反応のわるい選手や、考えられないようなミスを犯す選手などを「技術がわるい」とか「集中力が欠けている」ことに結びつけやすいが、それが視力が低いことに原因していることも決して少なくないのである。
第二に、選手自身、他の人も自分と同じように見えていると思っていて視力が低いことに気づいていない例である。プロ野球の選手のなかにもときどきあって、新聞の話題になることがある。キャッチャーのサインがよく見えないという例が多い。バッテリー間のサインは5本の指を使って、球種、コースを組み合わせるので、2本か3本かでは大きな違いであるが、この区別がはっきりしないのである。バッテリー間のサインミスは実はピッチャーの視力不足が原因だった、というのも珍しいことではない。
第三は、視力が低いことはわかっていても、メガネやコンタクトで矯正するのを嫌い、勘にたよってスポーツをする例である。安全上、問題があるような低い視力の人で、慣れてしまえばとか、勘を働かせればできるからという理由をつけているが、正しく今矯正すれば、安全で、しかもパフォーマンスがアップする可能性があることに気がついていない。
視力が低い場合、スポーツでは次のようなハンディを負うことになる。
・ボールのスピード感が正確にとらえられない。これはボールが小さければ小さいほど不正確になる。
・ボールや相手との距離の感覚が不正確になる。いわゆる目測を誤りやすい。
・相手や味方の表情がつかめないので、表情や眼の動きなどから次のプレーを予測することができず、対応が遅れる。
・色の感覚が不明瞭。ユニフォームなどの判別や、ボールと背景の区別が不正確になる。
・これらは、夜間のゲームや、暗い照明の下ではより顕著になる。
次のようなしぐさがあった場合、あるいはその選手は視力が低く、よく見えていないかもしれない。
・眼を細めて見る。
・片方の眼を前に出すように顔を向ける。
・まばたきが多い。
・しきりに眼をこする。
また、よい視力が必要とされるスポーツ、それほど要求されないスポーツがある。
●よい視力が必要なスポーツ
・すべてのボールゲーム
・スキー、スケート、自転車競技のように、スピードの出るスポーツ
(これらのスポーツではよい視力は必要で、視力矯正をしないと記憶は伸びないといわれている。)
・射的、アーチェリーなどの標的競技
・ボクシング
(ボクシングは安全上から、よい視力が必要である。アマチュアボクシングでは医学的適性として、片眼視力が0.2以上なければならない、コンタクトレンズは使用してはならないという規定を設けている。)
●とくによい視力を必要としないスポーツ
・陸上競技のなかの長距離、マラソン、水泳のように同一の動作をくり返し、かつスピードが出ないスポーツ。
・柔道、レスリング、相撲などの相手と直接組み合う格闘技。
◇ スポーツと目 1 引用にあたり
■ スポーツと目の関係の本を探しましたが、出版されている本がありませんでした。唯一石垣尚男著の「スポーツは目からはじまる」を見つけることができました。有名書店や近所の本屋へ行き探していただいたのですが完売で、再販の予定はありませんとのことでした。古本屋にでも出回っていないかと確認をとったところ、偶然に1冊でできたため拝読いたしました。この本を読んでいるうちに、スポーツの競技を向上させるのには、競技の練習が一番大切であるが、目とスポーツの大切さが重要であることがさらに把握できたと思います。が、しかし、この事をスポーツ競技の向上に、少しでも知っていただくことが出来ない現状に於いて(再販予定がない状態)では、とても残念に思います。
スポーツと眼:石垣尚男薯より
愛知工業大学・経営学部・経営学科 スポーツマネジメント専攻 石垣研究室2009年4月
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■ ジェットスキーや、ヨットや、サーフィンや、ウィンドサーフィン、ジェットボード、デォンギーなどのマリンスポーツに適したフレームが4種類発売されました。度入り可能です。このフレームの特徴として、水面上での激しい動きに対して、テンプル全長にわたりグリップラバーのストラップで覆い、激しいライディングでもグラスがはずれたりすることなく快適にフィットします。着脱はベルクロ式で簡単におこなえます。ストラップは取り外し可能で、日常のサングラス、メガネとしても使用できます。フローターを標準装備しているために万一海面にサングラス、メガネを落としても浮きます。
◇ スポーツグラスやスポーツメガネ、サングラスのいろいろ!・・・・・
■ スポーツメガネやスポーツグラスには、球技に適したスポーツグラス、競技に適したスポーツグラス、ウインタースポーツに適したスポーツグラス、ウオータースポーツに適したスポーツグラスなど、一般のメガネとは違った各種のスポーツメガネやスポーツサングラスがあります。例えば、球技のスポーツでも、サッカーとテニス、ゴルフでは、全く違ったスポーツグラスの装用が必要です。サッカーやバスケットにおけるスポーツグラスは、対人との接触による眼の保護をも考慮したフレーム設計が必要です。又、テニス、ゴルフ、卓球などのスポーツに適したメガネは、軽く、ズリにくい、装用感を重視したフレーム設計えらびが必要と思います。又、冬場のスキー、スノーボードに適したゴーグルタイプのサングラスや度付きのゴーグルタイプのメガネまで、サングラスにおいても、釣り、ヨットの機能を優先した偏光サングラスから、野球、ゴルフ、テニス、マラソンなどの時に、おしゃれを加味したスポーツサングラスの設計まで、あらゆる競技におけるスポーツグラス、メガネ、ゴーグル選びのご相談はメガネのアマガンでおこなっています。




◇ スポーツに適したスポーツ用眼鏡やスポーツグラス。・・・
■ “メガネっ子”グラビアアイドルのどき東ぁみ(18)が5日、都内で行われた「FOOTBALL FESTA2006」に参加した。所属するフットサルチーム「ミスマガジン」で芸能人女子チームと対戦した時東はトレードマークの眼鏡を、度付きのゴーグルタイプの特製メガネに替えてキーパーに挑戦。好セーブを連発したが1点を失い、「外にはじく練習をしてきたのに…足で止められたかな」と悔しそう。6月3日には東京・原宿アストロホールでコンサートを開く。
<デイリースポーツ>より

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◇ スポーツと深視力・・・・・
■ スポーツ競技において、視力以外に深視力がスポーツ競技に重要である。深視力という言葉は、あまり耳にされた事はないかも知れませんが、一言でいえば、距離や距離の差を感じる能力の事をいいます。スポーツビジョンという、スポーツのための視覚に関する研究雑誌に、各種競技の視機能の重要度表に、その研究効果が数値で記載されている。その中から深視力の重要な競技として、野球(打者)、野球(投手)、バスケットボール、テニス、サッカー、ホッケー(ゴールキーパー)、カーレースなどが最高の5評価とされている。
◇ スポーツメガネと目の関係!
■ 目が悪い(屈折異常)方がスポーツ(特に球技)をされるときに、正視の方と違って「見ることの煩わしさ」を解消しなければ競技内容に差がでてきます。これらをカバーするには、眼鏡、コンタクトレンズかスポーツ用メガネが必要になってきます。特に、球技で他人と接触する競技は、見る事の不愉快さと共に、目に対する外傷をも考えなければなりません。つまり、スポーツと目と保護とメガネの関連が生まれてきます。これらを考慮して、メガネのアマガン センター店では、表題に書きました「スポーツ用メガネと目」といったことに付いて記載させて頂ければと思います
・スポーツと目について
   スポーツビジョンを意味いたします。
・スポーツとメガネについて
   スポーツにおける屈折異常の補正
・スポーツとゴーグルメガネについて
   スポーツにおける目の保護及び屈折異常の補正
・その他
   スポーツにおける目の外傷など
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