スポーツどきのパフォーマンスを左右する瞬間視

スポーツでは、顔や、あるいは眼だけサッと動かして対象をとらえることが大事で、ほとんどのボールゲームではインプレー中に眼を止めてどこかをじっと見ることは少ないと思われる。瞬間的に要所要所をチラッと見ることがほとんどである。

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とくに、その能力が問われるスポーツとしてはサッカーやラグビー、アメリカンフットボールのように、多人数でしかも敵と味方が入り乱れるスポーツである。このようなスポーツでは、選手の背後から神の声といわれる的確な言葉を送る「司令塔」と呼ばれる選手がいるのがつねで、ゲームの状況をもとに最良のプレーの指示を出している。ほんのわずかの間に相手チームの守備の弱点を見つけ、味方に的確な指示を送るプレーは驚くばかりである。この状況の把握のもとになるのが瞬間視、チラッと見ることである。

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スポーツにおいて状況判断や予測といった能力は、戦術的な知識があるかないかといったことまでふくめた高次な能力であり、これがいわゆる「眼がいい」ことである。

中田選手のダイレクトスパイク

1 中田選手のダイレクトスパイク
2 瞬間視力がよいほどプレーがうまい
- 2.1 ■あるバレーボールチームのスポーツビジョン能力とスポーツ能力の関係
3 さえてるときほど瞬間視力はよくなる
4 こんなスポーツこんな場面で威力発揮
5 各スポーツで瞬間視力が必要な場面
6 取り扱い店舗
- 6.1 メガネのアマガンセンター店のこだわりコーナー

１９３３年の女子バレーボール日本リーグはプレーオフとなり、日立とヨーカドーの間で、優勝をかけた一戦が行われました。

スポーツビジョンはバレーボールのパフォーマンスを左右する — バレーボールと瞬間視

両チームの実力は接近し、フルセットに突入。闘魂の火花が散り、ゲームはまさに白熱。日立がいよいｙマッチポイントを迎え、ヨーカドーから戻ったボールが、日立の名セッター中田選手にわたりました。場内はもとよりヨーカ堂側も、「中田は誰にトスするのか？」と注目。その瞬間、中田選手は大きな賭けに出ました。意表をツイタダイレクトスパイクを鮮やかに決め、熱い戦いに幕をおろしたのでした。

中田選手はこのプレーを、ファンや開設者は「センス抜群」「神業」などと興奮してほめたたえましたが、しかしそれではこのプレーのすばらしさを、本当に理解したことにはなりません。

実はここに、スポーツビジョンの瞬間視が見事に生かされていたのです。日立のコーチは、いいます。「セッターにボールが返ってくるとき、常にチラッと相手コートを観察させる」　つまり瞬間視の大切さを、同コーチは中田選手に植え付けていたのです。そしてチラッと観察してから、次の作戦をとるよう指示しています。「もし、フォーメーションにスキがあれば、ちゅうちょなくフェインやダイレクトスパイクを仕掛ける」

中田選手の「抜群な選手」や「神業」は、瞬間視の能力を日ごろから強く意識してトレーニングすることにより引き出されたということができます。

瞬間視力がよいほどプレーがうまい

もし中田選手の瞬間視力が低ければ、相手の守備陣営のスキをついた、的確なダイレクトスパイクは成功しなかったでしょう。もちろんダイレクトスパイクという高度な技術も欠かせませんが、守備のスキを瞬時に発見し、「ダイレクトスパイクでいこう！」と判断し、どこへ打つのがいちばんよいかを知るには、瞬間視力がものをいいます。

■あるバレーボールチームのスポーツビジョン能力とスポーツ能力の関係

スポーツのパフォーマンスを高めるためにはスポーツビジョンのサポートも大切 — スポーツにおいて案外忘れがちな見る力の大切さ

スポーツビジョン研究会で行った調査によると、バレーボール女子リーグ１部のあるチームで、その部員をプレーの実力によって、A,B,Cのグル－プに分け、瞬間視力を調べたところ、実力の高さと瞬間視力の能力の高さは、一致することがわかりました。

さえてるときほど瞬間視力はよくなる

習慣的に見る映像から、必要な情報をどれだけたくさん得られるかは、人によってちがいます。

事前フジテレビ系の「なるほど・ザ・ワールド」という番組の中で、瞬間視力を働かせるクイズがありました。ある動く映像を流している途中で、瞬間的に別の止まった映像を映し出すのです。回答者は、瞬間的にあらわれた像が何かを当てます。回答者の中には、いつもすばやく見つける人がいるかと思えば、まったくわからない人もいます。

また、同じ人でも瞬間視力は、そのときどきの調子＝覚醒度（さえの度合い）によって左右されやすく、いわゆる「乗っている状態」や「ハイな状態」のほうが、能力が高まるようです。