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スポーツと目の怪我

バドミントン|バレーボール等予期せぬ目のケガ

スポーツにはさまざまな競技があり、身体の怪我は全ての競技において発生する恐れがあります。そのため防具を付けて行う場合もあれば、付けない競技もあります。ここでは、身体の怪我よりもリスクは少ないと思われる目の怪我を取り上げました。

スポーツで眼を、怪我することを少しでも知って欲しい。

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スポーツにおける様々な眼のケガ その一例

バスケットボールと目のケガ
バスケットボールと目の怪我

バスケットボール時の目のケガ:

眼窩部周囲の挫傷(浮腫と斑状出血)および眼窩付属器の裂傷。

ゴルフと目の怪我
ゴルフと目ケガ

ゴルフ時の目のケガ:

高速度のゴルフボールが眼に当った、外見上、眼窩周囲の浮腫と斑状出血がみられる。

釣りと目の怪我
釣り針と目怪我

釣り時の目のケガ:

釣り針による上眼瞼の穿孔。矢印のところに針によって穴が開いた状態。

野球と目の怪我
野球時と目ケガ

野球時の目のケガ:

野球中の眼球への挫傷力によって生じた網膜周辺部の白色化。

ホッケーと目の怪我
ホッケーと目ケガ

ホッケー時の目のケガ:

試合中に高速度のパックの打撃を受け眼底に広範囲の網脈絡膜瘢痕と黄斑円孔がみられた。

テニスと目の怪我
テニスと目ケガ

テニス時の目のケガ:

テニスボールで鈍的外傷を受け硝子体及び網膜前出血、網膜と視神経の詳細は出血のため不明瞭である。

フットボールテニスと目の怪我
フットボールと目ケガ

フットボール時の目のケガ:

広範囲の網膜前出血とさらに深層の出血もみえる。

競技どきの目の怪我 一部の実例

殆どの方はスポーツをされるに当たって目の損傷を考えてプレーされるとは思いません。

スポーツと目の怪我ドッジボール
ドッジボールと目のケガ

当店がスポーツと目の保護にはじめて興味をもったのは小学生の女の子が体育の授業どきにドッジボールが右目に当たり網膜剥離をおこされ視野が欠けたとの事で、今後万一左目にドッジボールが当たると大変なのでと言う事で、保護用スポーツ眼鏡を製作された親子の方。

スポーツと目の怪我バレーボール
バレーボールと目のケガ

大学のバレーボール部の男子部員の方が強烈なスパイクで打たれたバレーボールが目に当たり、眼圧が高くなり手術をされ今後ボールが目に当たると失明の危険もあるとの事で保護用眼鏡を製作された方。

スポーツと目のケガ野球
野球と目のケガ

成人の男性の方が趣味で野球(硬式)をされていたのですが、内野守備(三塁)時に強烈なエレギュラーバウンドのボールが目に当たり、眼内出血をおこされ保護用眼鏡を製作された方など。

当店も長年、スポーツ眼鏡を制作させて頂きましたが怪我ということを念頭には取り組んでいなかったのですが、スポーツどきの目の怪我をされた方々からのご相談によって、安全なスポーツ保護眼鏡のご提案ができるようになりました。

眼が悪くてもスポーツを愛する気持ちは、健常な視力を持たれてる方とは変わりません。これらの方々のサポートをご提案・・・スポーツメガネ度付きスポーツサングラス

さまざまな競技における眼のケガ その一例

どの様なスポーツで目の怪我がおこるのかを真剣に考えた事がなかったのですが、皆様への発信ができればと思っております。

野球&ソフトボール

毎年、スポーツが原因で発生する眼の損傷に関しては、5〜14歳では野球が最も多く、年齢をおしなべてみても、通常、野球は米国においてはスポーツによる眼の損傷原因の第1位か2位を占めている。

ヘッドスライディングを行うことで、舞い上がる土等で眼を損傷
2塁に盗塁したときに遊撃手の膝と眼が衝突

ベースをまわっている選手は、次のベースを奪おうとしてフルスピードで走っている。試合中、選手は常に次のペースを狙っている。ヘッドスライディングは、ほこりを巻上げることが多いので、眼の中に異物が入る危険性がある。また、スライディングを行う選手が、ベースや野手の下半身(膝、脚、足など)で、眼や顔の損傷を受けるリスクが高くなった。

キャッチャーと衝突による目の危険
ホームベース上の危険

実際に、2塁に盗塁したときカバーに入った遊撃手の膝と衝突して眼窩に損傷を受けた選手がおり、この衝突により、手術を要する頬骨骨折、眼瞼の挫傷、結膜下出血を引き起こした事例もあります。

とくにホームプレート上のクロスプレーのときにキャッチャーと衝突することがあり、この状況では、相手チームのキャッチャーは常に自分の身体でホームプレートをブロックしているので、激しい衝突の可能性が大きい。

野球の硬式ボールは141.7〜148.8g、円周は22.9cm~23.5cm
硬式ボール 直径72.93mm~74.84mm

野球における硬式ボールが直接目に当った場合、スカッシュボールに比べてやや大きめの公認ボールは、眼窩にぴったりはまったり眼球を直撃することはほとんどない。ただし、眼底骨折を引き起こすことがある。

野球時の硬式ボールガ目に当る前
A

A)ボールが当たる直前

大きめの公式ボールは眼窩(がんか)に入ったり眼球を直撃することはない。

眼窩(赤いライン)とは、眼球(めだま)やその付属の構造物が入っている骨の部屋のことを指します。 

野球時の硬式ボールガ目に当った状態
B

B)ボールが当たった直後

当たった直後、ボールは眼全体を押しつぶし眼底骨折を引き起こすことがある。(長い下向きの矢印)

赤いラインの骨が骨折することがある。

野球どきの目の怪我の結論

若い人たちでは、スポーツによって起こる眼の損傷の第一原因は野球であり、恐ろしい損傷が起こり続ける。野球による眼の損傷は、ボールの直撃や他の選手との衝突によって発生する。このような損傷のほとんどは、保護用具の使用を義務化することで防ぐことができる。

バスケットボール

バスケットボールはスピーディーな動きの競技であるにもかかわらず、防護用具は必要とされない。このことがスポーツ外傷発生の可能性を高め、米国においてバスケットボールが眼損傷の最も頻度の高いスポーツとなる原因になっている。

カリーム・アブドゥル=ジャバー元プロバスケットボール選手
Kareem Abdul Japper
バスケットボール時の手や肘が眼を襲う
指や手があらゆる方向から
延ばされる

野球、フットボール、アイスホッケー、アメリカンフットボール、サッカー、ラグビーなどの人気のあるチームスポーツの中では、バスケットボール選手が最もスポーツ外傷を受ける可能性が高い。

バスケットボール時の目の怪我
結膜上皮剥離

バスケット中に眼を突かれ結膜の上皮が剥離した状態(赤く囲った黒い矢印)。バスケットボールでは、ドリブルを除いて、その運動技術の多くは腰部以上の高さで行われている。シュートやリバウンドプレーは選手の頭上で行われる。ディフェンダーがボールに向かって伸ばした手と、ゲームで動きまわる選手たちとの三次元な空間の位置関係が、顔、頭、眼との不注意な接触の原因となり、それらはすべて避けられないものである。

バスケットボールぼ目に指が入り怪我をする
ディフェンスが原因の目の怪我

ディフェンスの選手は腕や手を伸ばし、シュートをブロックし、ボール奪取を狙う。

バスケットボールのゲーム中の損傷のほとんどは、相手選手の指や肘の接触により生じており、多くはリバウンドプレー中に生じている。

多くはリバウンドプレー中に生じている。

典型的な例として、リバウンドボールに対して、2名以上の選手が腕や指を伸ばしてとびつこうとする場合がある。リバウンドプレーでボールをとった選手は、週刊的に肘を振り回してスペースを確保し、守備側の選手を遠ざけようとし、一方、相手側の選手はボールを奪おうとする。肘や手拳の直接的な打撃は眼窩骨折の原因となりうる。

バスケットボール時に目に手の平が当たり怪我をする
オフェンスが原因の目の怪我

オフェンシブ・エンドでは、守備側はボールを奪うために手で掃きとろうとし、ボールがシュートされるときには、それを手でブロックしようとする。ガードに生じる多くの損傷は、ゴールに突進する際に、指を広げてシュートを阻止しようとする背の高い選手に近づいたときに起きる場合が多い。ボールを奪ったり、シュートを阻止したり、リバウンドをとろうとしたりするときには、指や手はあらゆる方向に向かって伸ばされる。ときには、オフェンスの選手がディフェンダーを払いのける目的で、片方の腕を振ることもある。

バスケットボールどきの目の怪我の結論

バスケットボールは、スポーツ眼損傷の発生数が最も高いとされている。幸いにも、これらの損傷のほとんどは、眼周囲の軟部組織に対するもので眼球そのものに対するものは少ない。ラケットを使うスポーツに比べると、永久的な機能障害をきたす損傷は比較的まれである。バスケットボールでは、センターの選手が最も眼損傷を受けやすいが、それはおそらく、コート内における選手の位置、および多くの危険な外力にさらされる機会が多いということによると思われる。市販されているポリカーボネート製のアイプロテクターは眼球損傷の予防に有効である。不幸なことに、どのレベルのバスケットボールでも、このような防護用ゴーグルの使用を要求しているルールはない。もし若い選手がKareem Abdul-Jabbar がどんな靴をはいているかに興味をもつと同じように、彼が何を、そしてなぜ、眼に装着しているかに関心をもてば、多く発生している眼損傷は著しく減少するであろう。

アメリカンフットボール

アメリカンフットボールでは、ヘルメットやフェイスガードの進歩にもかかわらず、現在も目や顔面の損傷が引き続き起こっている。

アメリカンフットボールにおける眼の怪我
スポーツに関連した眼の損傷の5%がアメリカンフットボール

アメリカンフットボールの損傷で最も一般的な原因は鈍的な外傷であるが、目の損傷はフェイスガードの隙間から入った指で突かれる場合が多い。このように手がフェイスガードの下から入って目に衝撃を与えるのは、ルールによって手が仕様できることも、原因といえるかもしれない。

アメリカンフットボールと目の怪我
アメリカンフットボールにおける眼の怪我

アメリカンフットボールで起こる最も一般的な眼損傷としては、角膜・結膜の異物、斑状出血を伴う眼窩周辺の挫傷、眼瞼の浮腫(黒目)、角膜剥離、外傷性虹彩炎などがある。

また、少ない損傷としては、眼窩骨骨折、眼瞼や結膜の裂傷(指の爪による)、外傷性前房出血、網膜振盪があげられる。

スクラムラインのブロックの小競り合いでの目の怪我
フェイスガードの下から手が入ってくる

アメリカンフットボールでは、すべてのポジションで目の損傷が起こっている。ディフェンスラインの選手はオフェンスラインの選手を押したりブロックをするときに、フェイスガードの下から手を入れることがある。

フェイスガードに突き刺すように指が目に当ることがある
腕を真っすぐにして指が目に当る

クォーターバック(QB) やランニングバック(RB)はディフェンス側の選手を寄せ付けないために、真っすぐに伸ばした腕を敵選手に当てることがある。

フェイスガードの隙間から指が入り込み目にあたる
隙間から指が眼に当る

DBことディフェンシブバック側の選手はタックルをするときに、相手選手のフェイスガードをつかんだり、偶然にフェイスガードの隙間から指で顔や目を突くことがある。

目の損傷は芝生からはがれた科学物質や異物によって起こる
転倒により芝生等から目の怪我

選手が転倒した時に目に損傷を受ける場合もある。天然芝でのゲームでは結膜や角膜に土や草などの異物が入る可能性があり、人工芝のゲームではカーペットのゴミが目に入る可能性がある。したがって、どちらのタイプの芝生でも、転倒時には目に科学的損傷を与える危険性がある。

アメリカンフットボールどきの目の怪我の結論

目の損傷はフェイスガードの隙間から入った指で突かれる場合が多い。このように手がフェイスガードの下から入って目に衝撃を与えるのは、ルールによって手が使用できることも、原因といえるかもしれない。そのため、目の怪我を防止するには保護眼鏡の装用を考えるしか現在のところ予防ができない。

ヘルメット用眼鏡

参考までに、写真にあるようにポリカーボ製のスポーツ用保護眼鏡は、相手選手の手からほとんど完全に目を保護できる。

ただし、多くの選手は保護眼鏡が周辺の視野を妨げると信じているために、”男らしくない、自分のスタイルじゃない、ゲームがだいなしになる”といって装用することをいやがる。

ラケットスポーツとコートスポーツ

ラケットとコートを使用するスポーツによる眼損傷が、すべての眼損傷のうち約8%をしめている。10万回のプレーに対する眼損傷の危険率は、スカッシュ5.2%、バドミントン3.6%、テニス1.8%、卓球0.1%となっている。

ラケット&コートスポーツにおけるボールとラケットのスピード
ボールとラケットのスピード

バドミントン

バドミントンどきの目の損傷の70パーセントがダブルスで起こっている。ダブルスでは、パートナーや相手のシャトルコックも眼球に当る可能性がある。

結膜下の出血
強膜と結膜の間に血液の貯留がみられる

カナダでは、ラケットボールやスカッシュに代わって、バドミントンが最も眼損傷を起こしやすいラケットスポーツになっている。

バドミントン用のシャトルコックは眼窩に完全に嵌入する
眼窩にシャトルコックが入る

バドミントンのシャトルコックは羽とナイロンでできており、長さは5.7~7cm(2.25~2.75インチ)、重さは28g(1オンス)で、眼窩に完全に嵌入する大きさである。

スカッシュ

スカッシュのボールの直径は4cm(1.75インチ)で時速145㎞(90マイル)のスピードが出る。スカッシュのボールは、眼窩径よりも小さく変形せずに直径眼球に当るため、重大な眼損傷を引き起こしやすい。

スカッシュは三方の壁にボールを打つ

我が国ではスカッシュはそんなにポピュラーなスポーツではないが、欧米では愛好家の多いスポーツである。

スカッシュはシングルまたはダブルスでプレイする
小さいテニスラッケットで打つスカッシュ

三方に壁面があるためにバウンドの型が複雑で、かつ激しいスピンがかかっており、ボールスピードも速いため、当然予想されるように眼外傷が起こりうる。

速いスピードで三方の方面から体にボールが向かってくるこのスポーツスカッシュでは、当然予想されるように眼外傷が起こりうる。

スカッシュによる眼外傷
外傷後の顔面写真

ニュージーランドにおけるスカッシュによる1年間の100例の眼損傷であるが、2例は眼球摘出をし、50%が有効視力を回復できないとしている。、

スカッシュ外傷は鈍的眼外傷であり、ボールの眼球に対する角度、部位、ボールのスピードにより眼球の受ける障害は軽傷から重症まで異なる。

なお、ボールの直径が4センチと小さいので、まともに大きな速度で当たったときの被害は大きい。

ラケットボール

ラッケットボール(バドルラケット使用)にかかわる眼損傷は、スカッシュの場合とよく似ている。ボールのスピードは同じぐらいであるが、ボールはとても弾性があり、眼窩に嵌入する。

ラケットボールの風景
ボールのスピードは8歳で時速130㎞、プロで240㎞

ラケットボールに関する眼損傷の95%がボールによるもので、その速さは時速225㎞(140マイル)にも達し、ラケットによるものは5%である。狭いコート内で眼損傷が起こってしまうことは驚くことではない。

テニス

テニスボールは毛で被われたゴムでできており、直径6.35cm(2.5インチ)、重さ56g(2オンス)で、シャトルコックやスカッシュと異なり、直接眼窩に入り込むことはない。

BeActive(ビーアクティブ) 硬式テニスボール2P BA-5182
硬式テニスボール

しかし、弾力性が強く、時速160㎞(100マイル)以上のスピードが出るので、直接の打撃は強い衝撃を与える。

センターネットに近ければ近いほど、眼損傷の危険度が高くなる。眼鏡を掛けているプレーヤーは、フレームが折れたり、レンズがフレームからはずれたり、割れたりして眼損傷を起こす。

テニスによる眼損傷
テニスによる硝子体及び網膜前出血

スポーツ眼科のデータによると、高速のテニスボールによって眼損傷を受けた10人の症例について報告されている。それによると、7人は網膜裂孔か網膜剥離に対して網膜の手術、光凝固あるいは両方を受けている。10人すべてに硝子体出血をみている。

ハンドボール

ハンドボールのボールは、ソフトゴム製ボールで直径4.8cm(1.875インチ)、重さ36.8g(2.3オンス)である。ラケットボールで使用されていた目の保護用フレームは、最初にハンドボール用として考案されたものである。

ハンドボールどきの初代アイガード
ハンドボールで使用された最初のオープンアイガード

ヤフー知恵袋に掲載されています・・・こちらへ

ハンドボールが目に当たって失明してしまった人も知っています。 昔は「張りボール」といって、今のように表面がソフトな ボールではありませんでした。 スポーツは常に怪我の危険が伴うことを意識していなければなりません。 現在のボールは、そう言った意味では怪我を起こしにくいボールに なってはいますが、それでも十分気を付けなければなりません。

ゴルフ

米国における1年間のゴルフ関連の目の怪我969例の割合一覧表です。

1993年に米国でのゴルフに関係した眼損傷969例の割合
ゴルフ関連損傷の最も一般的な原因

この表(969例)は、スポーツ全般やレクリエーションに関係した眼損傷の2.4%にあたる。これはホッケーよりも多い。

高速で飛ぶゴルフボールが眼に当った状態
ゴルフボールが眼に当り著しい損傷を与える
ゴルフボールが眼に当って眼球の構造が破壊されたCT画像
ゴルフボールが眼に当たって破裂したCT像

他のスポーツにおける眼の損傷に比べてゴルフどきの目の怪我は特徴があり、ほとんどの損傷が25歳以上に生じていて、それ以下の年齢では少ないということである。

前房内血腫

例えば、ゴルフボールによる外傷は、同伴プレイヤーによるもの44.9%、ほかのプレイヤーによるもの55.1%という結果を得ている。

この結果からのボールによる傷害も多いことがわかる。至近距離からのゴルフボールの運動の軌跡は直線的で、遠距離からのゴルフボールの軌跡は放物線を描いており、この運動の軌跡の違いが、ゴルフ眼外傷の外傷部位が多岐にわたってしまう1つの原因と思われる。

サッカー

サッカーでの目の怪我はアメリカンフットボールや野球とほぼ同じであり、これはサッカー選手のほとんどが子どもや青年であるためのようであります。

サッカーボールが眼球に当る
サッカー時に眼球へボールが当たる

1993年の1年間のの情報によると、サッカーに関係した目の損傷は約1,319例であった。

これは全スポーツ外傷の3.2%にあたる。サッカー損傷の28%が15~24歳の年齢層に起こると考えられている。損傷の約55%が15歳以下の子どもであった。

子どもは標準より少し小さいボール(周囲が63.5cm)でプレーしているが、この年齢層はほとんどの衝撃を吸収でき、ゴルフボールのときにみられるような(たとえば眼球破裂などの)壊滅的な損傷から防御できるが、それでも重篤な損傷は起こる。一般的にに衝撃力は、眼球壁の張力を超えないまでも眼球内の構造を変形させうるに十分なくらいに強い。この結果として前房出血や網膜裂孔、網膜出血そして網膜振盪などが最も頻繁にみられる。10メートルの距離で蹴られたサッカーボールのスピードを測定、調査し、全力で蹴られたときに、その衝撃力は200Kpであった。

平均的な成人の眼窩開口部は約3.5×4.1cmであり、標準のサッカーボールの直径は約21.8cm、周囲は約68.6~71.1cmであるが、眼窩開口部は角膜面にあるので眼球への直径外傷は容易に起こりうる。

このような大きな物体がもつ、直接損傷の原因になる可能性は、ボール形(曲率半径)とその衝撃力の強さに関係している。半径4.3インチの圧縮できない球形の物体でも、眼球に直接接触することができるだろう。

眼窩の軟部組織と、眼球の形を変えずに少しくらいはもとにもどれる眼球の能力によって、圧縮できない物体によって引き起こされる眼窩以外の損傷のほとんどは予防できるだろう。しかしサッカーボールは、とくに多少しぼんでいたりすると、当たった瞬間に重篤な眼球の変形と、眼窩開口部への侵入が可能となる。これは、隆起の少ない前頭骨や上顎骨で、眼窩縁が十分に発達していない子どもではさらに際立ってくる。

サッカーどきのボールの奪い合いによる目の損傷
サッカー時に手が目に接触
サッカーによる目のケガ
サッカーどきの目の損傷

サッカーによる損傷は、ときに選手の不注意のために蹴られたり、肘や手で蹴られたりして発生することもあるが、ほとんどはサッカーボールが眼窩や眼球に当たって起こる。サッカー損傷は、前房出血や後眼部の損傷をしばしば引き起こす。サッカー損傷のメガニズムは、蹴られたボールと眼窩や眼球の接触により起こる。眼窩は多くの衝撃を吸収するが、眼球と比べて相対的に眼窩のは発育が不十分な若い選手などでは、直接、眼球に損傷を受ける。

ヘディングによる目の怪我は少ない
サッカー時のヘディング

重篤な網膜障害は前眼部の障害がなくてもおこりうるので、高度な眼科的検査がとくに重要である。神経損傷の原因となりうるヘディングだが、文献上はそれほど危険は多くなさそうである。サッカーにおける保護眼鏡の必要性は、ホッケーやラケットスポーツなどより少ない。

FIFA(国際サッカー連盟) 高度医療で関西の病院認定

FIFA公認施設として関西で3病院が認定されました。・・・こちらへ

兵庫県内の3つの医療機関がサッカーに関する高度な医療を提供できる施設としてFIFA=国際サッカー連盟に認定されました。FIFA=国際サッカー連盟はサッカーに関する高度な治療やリハビリ、それにスポーツ医学の研究を行うことができる施設を「FIFAメディカルセンター」として認定しています。今回、神戸市にある▼神戸大学医学部付属病院と▼兵庫県立リハビリテーション中央病院、それに▼西宮市の明和病院が西日本では初めてメディカルセンターに認定されました。

西宮市 明和病院

FIFA公認西宮市明和病院
明和病院

兵庫県西宮市上鳴尾町4ー31

☎0798-47ー1767

阪神電鉄「鳴尾駅」下車徒歩5分

兵庫県立リハビリテーション中央病院

 FIFA公認兵庫県立リハビリテーション中央病院
兵庫県立リハビリテーション

兵庫県神戸市西区曙町1070

☎078-927-2727

JR西「明石駅」下車バス10分

神戸大学医学部付属病院

FIFA公認神戸大学医学部附属病院
神戸大学医学部附属病院

兵庫県神戸市中央区楠町7-5-2

☎078-382-5111

JR「神戸駅」下車徒歩15分

神戸市中央区で行われた認定式には関係者およそ100人が集まり、FIFAのチーフメディカルオフィサーから病院の代表に認定証が手渡されました。メディカルセンターはこれまで国内では関東しかありませんでしたが今後は関西に拠点を置くスポーツ選手が国際試合の前の健康診断や高度なケガの治療やリハビリを神戸で受けられるようになり、負担の軽減につながるということです。

ラクロス

ラクロスはスポーーツの中でも目外傷の危険が高い・・・スティックから繰り出されるボールはときには時速160㎞を超え、ラクロスは「地上で最も早いスポーツ」と呼ばれている。

ラクロスと目の怪我
女子ラクロス

男子では、激しいボディチェックでボールを奪い合うため、フェイスガードのあるヘルメットなどの防具の着用が義務づけられている。女子ではボディチェックが禁止されている反面、防具の着用はない。

ボールの硬さ比較 ① ②

ボールの硬さはかなり硬く、ちょうど昔のスーパーボールのようで、写真①の硬式テニスボールと写真②のラクロスボールを手で挟み込むと、①の硬式テニスボールは圧縮されるが、ラクロスボールは変形しない。

ラクロスは棒の先に網がついた棒でボールをパスする
網のついたスティックを操る

女子では、ボディチェックが禁止されているとはいえ、格闘技性があり硬質のボールを高速で投げ合うラクロスで、フェイスガードを着用しないのは大変危険と考えられる。

また、男子でも練習時にはヘルメット、フェイスガードなどを着用しないことが多いうえに、練習用のラクロスボールはさらに硬質なものが用意されている。ボールサイズは、テニスボール大で、眼窩に対しては、やや大きい程度である。

ラクロスボールが眼に直撃する危険
ラクロスボールと眼窩
ラクロスボールが眼に直撃した眼窩骨折画像
左眼窩内側壁骨折

ラクロスは眼外傷の危険性が高いスポーツと考えられる。ラクロスボールでは、眼窩骨折も眼球自体の損傷も生じうるようである。

アイスホッケー

世界中で最もスピーディーで激しい団体競技であるアイスホッケーにおいては、目の損傷事故も他のスポーツよりも多く発生する。

アイスホッケーと目の怪我
アイスホッケーでは顔面にパックが直撃…。目の上を深く切る裂傷もおこる

損傷は11~15歳にかけての年齢層に最も多く起こっているようです。眼損傷のうち74%はスティックによるものとされています。

アイスホッケーにおける眼のケガの原因の統計
カナダにおけるアイスホッケーによる眼損傷の原因

スティックは固いラバー製のバックを打つ為にゴルフクラブのように激しく振られ、それが約26×56m(85×185フィート)の限られたスペース内で繰り返される。

アイスホッケーの目の危険はスティック、パックが襲う
アイスホッケー

現在、打ち出すバックの速度が時速約160km(100mph)を上まわっている選手もおり、そのバックが当たった時の衝撃は544kg(1200ポンド)以上にもなる。打ち出されたバックは時として予想外の場所へとんでいく事があり、それが防ぎようもなく目を襲う。

また、スティックが代わりに襲ってくることもある。これだけの危険因子があれば、ひどい眼損傷が起こったとしても何の不思議もない。

カナダにおけるあいすほおけーの眼の怪我の種類
アイスホッケーによる眼損傷の種類

カナダにおける1年間の眼のスポーツ事故のうち網膜剥離が250眼が報告されており、33眼(13.2%)がアイスホッケーによるものであった。

射撃

スポーツとしての射撃には、代表的なものにクレー射撃とライフル射撃がありますが、日本では、スポーツとしての射撃を行っている人は少なく、射撃による眼外傷の頻度は大変少ないと考えられる。

クレー射撃と目の怪我
クレー射撃
ライフル射撃と目の怪我
ライフル射撃

クレー射撃などは、撃つたびに相当の反動(銃によるが1c㎡当り700~1,000㎏)があり、競技前の練習では1日百発もの射撃を行うということであるから網膜剥離を起こす危険があると考えられる。

射撃における眼の怪我に多い網膜剥離
網膜剥離

網膜剥離の術後や、網膜剥離裂孔のレーザー治療後の注意として、激しいスポーツをしないようにということはよくいわれる。このスポーツには当然のこととして、ボクシングや水泳の飛び込みが含まれているわけであるが、射撃を思い浮かべる人はすくないだろう。

射撃どきの硝煙からメガネのアマガン センター店を守るシールド
サイドシールド装着

クレー射撃の公式戦では、眼をガードするサングラスなどの着用がルールで定められている。ただし、これは発砲による硝煙から目をガードするのが主目的らしい。

ライフル射撃では、狙いをつけるスコープがあるが、構えの悪い初心者では、反動でこのスコープが目に当り、眼外傷を生じることがまれにある。

射撃時のよくない構えとよい構え
射撃どきの姿勢

射撃の弾丸が目に当れば命の問題で、眼外傷どころではないと思われる。しかし、クレー射撃の散弾が当たった場合は、弾が小さいため命は助かり、眼外傷が生じる例が、時にある。猟の時に誤射することなどで起きる。

エアーガン

1982年ごろ、戦闘シミュレーションスポーツが米国、カナダ、英国、オーストラリアを含む、多くの西欧諸国で人気を獲得した。このスポーツは、”サバイバル”、”コマンドー”、”ペイントボール”、”戦争ゲーム”、対抗するチームが競う”旗取り”など、数多くの違った名前がある。

エアーガンの種類
エアーソフトガン

エアーガンの種類としては、1)エアーコッキング式 2)ガス式 3)電動式の3種類に分けられる。

弾はBB弾と呼ばれ直径6mmの球形、材質はABS樹脂100%、BB弾の重さ0.12g、0.20g、0.25g、0.30g、0.43gの5種類である。

エアーガンにおける眼の怪我
円板状角膜浮腫

1986年ごろから日本でもエアーソフトガンを用いたサバイバルゲームが始まり、鈍的眼外傷の症例が増加した。

最も一般的な所見は、頻度順に前房出血、円板状角膜浮腫、網膜震盪症、隅角後退、続発性緑内障、角膜上皮欠損、外傷性虹彩炎、外傷性白内障があげられる。

サバイバルゲームによるBB弾の使用前、使用後
BB弾 ペイントボール

直接BB弾が目に当る速度:

エアーガンの大部分は銃口速度90~200m/秒の範囲で、人間の角膜を裂孔するのに必要な103m/秒の銃口速度に容易に達する。

釣り

スポーツフィッシングとしての釣りにおける眼損傷は比較的珍しいが、眼球構造は繊細なので、起こるとしばしば重篤になる。

釣りにおける眼の怪我
釣り針による上眼瞼の穿孔

釣りに関連した眼損傷は、初老の人と子どもを含むすべての年齢層で起こる。しかし、全体的には他のスポーツ関連の眼損傷より平均年齢が高い。

目に刺さった釣り針
針が抜けない

釣りにおけるほとんどの眼損傷は、釣りの用具によるものである。

ある報告によると、釣りに関連する眼損傷の10例のうち6例が釣り針、2例が釣り糸、1例が漁突きによるもの、1例がその機序は不明であった。

釣り中の眼球損傷スポーツ眼科より
図1)釣り針が眼球を貫き硝子体中に入っている

釣り針による穿孔性眼損傷は、後眼部より前眼部においてより一般的である。典型的には、釣り針は角膜を貫いて虹彩とレンズを巻き込むかもしれない。釣り針を取り除くにあたっては針の先端に位置する鉤(図1赤丸)が問題となる。

釣り針の鉤を嚙み合わせて角膜から除去
網膜を通して針を挿入

針がその鉤を超えて通っていたら、それを取り除くときには特別な注意が必要である。なぜなら、鉤が角膜を通して引き抜かれるときに、かなりの組織破壊を起こすかもしれないからである。

海での釣りにおける眼損傷は感染リスクが有意に存在する。釣り針創傷のような穿孔性損傷が、腸炎ビブリオのような普通でない病原体による二次性の眼内炎を合併するかもしれない。

また、ナイロン製の釣り糸による角膜損傷では、真菌性角膜炎の危険性がある。

最近の釣りによる外傷の特徴は、なんといってもルアーによるものが多い

釣り針が刺さった状態スポーツと眼科学より
釣り針が抜けず刺さった状態

最近の釣りにおける眼外傷は、ルアーによるものが多いが、これは投げ釣りに属することと釣り針の構造に負うところが大きいと思われる。

ルアー投げ釣りにおける眼の怪我
投げ釣り

どういったときに事故が起こるかを考える:

事故は初心者に起こりやすい。夢中になっていて、周囲に眼をやる余裕がないこと、投入モーションなどの技術が拙劣なこと、事故を未然に予知できない、事故が起こるものとして予防措置をとっていない、事故が起きた時の対処がまずく傷をさらに悪化させる。

釣り時の目の怪我は竿を投げる瞬間に多く発生する
竿を後ろに振りかぶる

最も頻度が多いのは錘、ないしは籠付き錘といった鉛の塊りが、眼球を打撲するケースであり、仕掛けの投入時に竿を後ろに振りかぶったときにたまたま後ろにいる人に当てるケース、あるいは技量不足で、コースをはずれて人に当ててしまうケースである。

クラゲによる眼球刺創

アトランティックシーネットル(クラゲの一種)や海イラクサは、接触により有害の糸を放出する刺胞で被われた触手をもっている。

アトランティックシーネットルは、ヤナギクラゲ属に属するクラゲの一種。
タイセイヨウヤナギクラゲ

刺胞が目と接触すると、有害な糸は角膜上皮に入り込むことができる。

あるカニ漁の漁師が、船の仕掛けを強く引き上げているときに眼球をイラクサに刺され、その時の症状として、急激な灼熱痛、羞明、流涙であったようです。

ルアー釣りの錘の種類
錘の種類

錘の大きさや形状は実に種類が多く、ドングリ大から鶏卵大まで、なかには凶器のような形状のものもあるので、直接眼球に当ると前房出血や眼底出血、隅角解離や出血に伴う続発緑内障、脈絡膜破裂や、眼球破裂を起こす不幸な場合には網膜剥離を起こして失明することもある。

次に多いのは針刺し事故である。(前述)

釣りにおける眼の怪我は針の種類によっても違う
釣り針の各種

釣りに用いる針は”すれバリ”といって返しのない抜去が簡単な針(競技あるいは口の堅い魚を釣る特殊な目的でしか使わない)と一般的に使用されている返しのついた(バーブ、アゴとも呼ばれる)針を使用するが、返しつき針は刺さると抜けにくい。(前述)

イカ釣り用餌木には返しがない。

スキューバダイビング

現在のスキューバダイビング(以下ダイビング)人口は100万人を超えると推測されている。また生涯スポーツとして、高齢者人口も増加傾向にある。ほかのスポーツと比較して直接的な眼外傷が発生することは稀である。

ダイバーの眼を守りたい。
海の限りない美しい営みは、時を超えて人間を魅了し続けます。

ダイビングは、一般の人がますます近づきやすくなったレクリエーションスポーツです。そのため、とくに未熟なダイバーにとってはかなりの危険を伴うものである。水圧を受けることで体は圧外障(スクイーズなど)が起こりうるが、眼球は基本的に気体を含まないので、圧外傷は間接的なものが中心になる。また、ダイビング環境や装備の関係上、角膜障害がしばしばみられる。

ダイビングスクール ブルーアース21都立大より引用
ダイビングマスクを装用

潜水中のフェイスマスクの使用が根本的にリスクを減少させるが、眼損傷は、さまざまな状況で起こりうる。潜水において考慮すべき最も重要な目の問題は、適切な水中の減圧と視覚に関連した問題である。

角膜(黒目)の表面が浅く傷ついた状態を「びらん」といいます。
角膜びらん

ダイビングで起こりうる眼外傷:

角膜びらん、角膜上皮剥離、眼球突出、球結膜下出血、びまん性表層角膜炎、前房出血、網膜動静脈閉塞症など、

また、ダイビング初心者に多い代表的な眼部圧外傷があげられ、潜水時、マスク内圧も周囲圧と同様上昇するが、圧平衡が行われないと発症する。

海中は魅力いっぱい
海の中から海を覗きたい

スキューバーダイビングにおいては、視力補正をダイビングマスクで行っています。水中では正視の人はおよそ42Dの遠視となります。これは通常の空気ー角膜境界面が水ー角膜境界面に置き換えられることによって、光線が網膜後方に焦点を結ぶからである。

TUSAダイビング マスクM7500
度付きダイビングマスク

フェイスマスクやゴーグルをつけることによって空気ー角膜境界面が回復し、視力が改善する。マスクの水ーガラスー空気境界面での光の屈折は、約25%の拡大効果を起こし、距離を認識する邪魔となる。

屈折異常をもつバイバーにとって、屈折矯正マスクをつけることは可能である。

しかし、ソフトコンタクトレンズを装用して非矯正マスクをつけるのが最も好ましい。ソフトコンタクトレンズは潜水中の使用によく耐えうるようである。ただし、フェイスマスクの中にコンタクトレンズを落としてしますことがあり、そのため潜水中に危険にさらされることをダイバーは知っていなければならない。

ボクシング

ボクシングは他のいかなる競技よりも目に障害を及ぼす競技である。バトミントンのように競技者どうしが接触しないスポーツ、あるいはフットボールのように競技者どうしが接触するスポーツのいづれにおいても眼損傷は生じるが、ボクシングは相手の視機能に障害を与えることが勝利へつながるという特性をもつ唯一のスポーツである。

スポーツ眼科よりボクシングと目の怪我
視機能を低下させやすい部位を標的にするボクシング

ボクサー相手の眉毛部の古傷を標的とし、出血によって相手の視機能を低下させることすらも戦略としてトレーニングされている。

親指による打撲は重篤な眼外傷を起こす
ボクシングによる重篤な眼外傷

しばしばリングの上では不注意から親指で相手の目に障害を与えることがあるが、このようなケースが最も重篤な眼障害を引き起こす。

眼瞼の著しい腫脹や眉毛部からの出血によってボクサーの視機能が障害された場合は、レフェリーは試合を中断するように教育されている。従来より、ボクサーの片目が機能しなくなった場合は、レフェリーあるいはドクターによって試合は中断される。

ボクサーの三分の二に何らかの異常所見があるようである
眼損傷を受けたボクサーの症例割合

ボクシングによる眼の損傷には、直撃損傷、反撃損傷、赤道部の伸展がある。

眼瞼への局所的な打撃
直撃損傷

直撃損傷:

直撃損傷とは直接的な打撃によって局所に生じるダメージである。直撃損傷では眼球表面への打撃によって眼瞼や角膜が受傷する。そのため、胸膜や毛様体あるいは網膜への直撃損傷を生じやすい。

とくに上眼窩縁などでは、その硬い構造から鈍的外傷に伴って皮膚の裂傷を生じやすい。角膜の擦過傷はさほど高頻度ではないが、結膜下出血や皮膚の斑状出血しばしば認められる。

眼から離れた衝撃でおこる損傷
反撃損傷

反撃損傷:

反撃損傷という概念は、鈍的な頭部外傷において受傷部から離れた部分に生じる損傷という意味である。頭部に与えられた打撃は直接的な力となって頭蓋内を横断する。ダメージは組織の境界部、とくに密度の異なる組織の境界部に生じる。眼損傷によって生じる前嚢下白内障、後嚢下白内障、黄斑部の網膜色素上皮症、あるいは黄斑円孔などがあげられる。

赤道部が伸展する網膜周辺部の損傷
赤道部の伸展

赤道部の伸展:

赤道部の伸展はとくに鈍的眼損傷における周辺部網膜の損傷の原因となるメカニズムである。眼球が前後方向に圧縮された際、赤道部の外周は伸展される。赤道部の胸膜が伸展すると、その直下にある網膜や毛様体扁平部は硝子体底部方向へ急激に牽引される。

このような衝撃によって硝子体基底部の離開、網膜裂孔、毛様体扁平部の毛様体上皮の断裂、鋸状線での網膜離断などが生じる。このような急激な眼球の圧迫は角膜の変形を伴い、また前房内容が急激に隅角を圧迫することによって生じる毛様体断裂や隅角後退を伴いやすい。

スポーツ眼科
眼球の部位

接触競技(コンタクトスポーツ)における眼の怪我

ラグビー、アメリカンフットボールなどの球技、相撲、レスリングなど格闘技では体をぶつけあうことが競技そのものである。また、サッカー、バスケットボール、アイスホッケーなども身体的接触を避けて試合をすることはできない。

ラグビーと目の怪我
ラグビー
レスリングと目の怪我
レスリング
相撲と目の怪我
相撲
武道と目の怪我
武道

これらの競技においては、スピードと力が重要であり、必然的に外傷、引いては眼外傷が起こる機会が多いといえる。これらのスポーツに起因する眼傷害のパターンを知ることは、予防のうえからも重要である。

スポーツと目の怪我 まとめ

種目別に受傷した数でみると野球、テニスがいずれも26%と多く、次いでサッカーの16%でラグビーは3%すぎないが、これは競技人口の違いがあり危険率をそのまま反映したものではない。発生頻度で比較するとラグビーが著しく増え、次いでサッカーの順で野球の2倍以上になっている。接触競技ではやはり目に対する危険が高い。

スポーツと眼科学より
スポーツにおける接触競技では眼外傷は多い

肘や指だけでなく、バスケットボール、サッカーボールなどでも眼窩部で変形し重篤な鈍的外傷を起こすことがある。サッカーボールは蹴り上げられるため特にスピードがあるので注意が必要である。

バスケットボールが当たったことによる網膜振盪症
網膜振盪症

症状としては角膜びらんのほか虹彩炎、網膜振盪症、球結膜下出血、網膜出血などが多い。

サッカーでは網膜振盪症、網膜出血は眼底上方に多い傾向がある。そのほか視神経損傷、眼窩底骨折、外眼筋麻痺が多く、前房出血、黄斑円孔や網脈絡膜萎縮は比較的に少ない。またバスケットボールで眼瞼傷害が角膜の2倍以上多いことは、指や手で爪が原因と考えられる。

ハードコンタクトレンズが割れたことによる角膜びらん
角膜びらん

眼鏡やハードコンタクトレンズが割れると角膜あるいは穿孔性外傷の危険がある。

フィールドスポーツでは環境の影響も受ける。砂利や砂、草の上の殺虫剤など異物の飛入、線に引かれた石灰による化学薬傷、花粉や樹木に対するアレルギーなどがある。

スポーツにおける紫外線の目への影響

眼の怪我ではないかも知れませんが、登山者やスキーヤー、ヨットセーラーの方々にとっては、紫外線による眼の疾患が考えられます。また、屋外で長時間スポーツをされる競技にも言えることと思います。例えば、ゴルフやテニスなども気を付けなければなりません。

登山者やスキーヤーの紫外線対策
冬山スキーや登山
ウォータースポーツの紫外線対策
夏のサーフィンやヨット

屋外でのスポーツは、強い風やほこりなどの悪コンディションに加え、衝撃による損傷の可能性のある状況で大量の紫外線を浴びています。慢性の紫外線曝露の長期的な環境が心配され、将来生じる可能性のある目の問題を列挙してみました。

強い紫外線を浴びると、紫外線角膜炎という病気になる。
紫外線角膜炎

紫外線角膜炎:

強い紫外線にばく露したときに見られる急性の角膜炎症で、結膜(白目)の充血、異物感、流涙がみられ、ひどくなると強い眼通を生じます。

雪面などに紫外線の反射が強い場所で起きる”雪目(ゆきめ)”が有名です。昼間に紫外線にばく露した場合、夜から深夜あるいは翌朝にかけて発症し、大部分は24~48時間で自然に治癒します。

翼状片は、結膜が角膜へ三角状に伸び、覆いかぶさる病気です。
翼状片

翼状片:

眼球結膜(白目)が翼状に角膜(黒目)に侵入する繊維性の増殖組織で、瞳孔近くまで進展すると視力障害をきたします。通常は30歳以降に発症し、進行は早くありません。農業、漁業従事者など戸外での活動時間が長い人に多発し、紫外線ばく露を含めた外的刺激がその発症に関係すると考えられています。治療は外科的な切除を行いますが、2~7%の人は再発し再手術が必要になります。

白内障は、水晶体というレンズの役割を果たす組織が混濁する病気。
白内障

白内障:

白内障は眼科疾患の中で最も多い病気の1つで、眼の中でレンズの役割を担う水晶体が濁るため、網膜まで光が届かなくなり見え方の質が低下してきます。初期には水晶体が硬くなるため老眼が進行し、濁りが強くなると視力が低下し、進行すると失明にいたります。

白内障は80以上のタイプがあるといわれていますが、加齢により発症する白内障には3つの代表的なタイプがあり、それぞれ原因や見え方への影響も異なります。日本人で最も多くみられる皮質白内障というタイプでは、紫外線との関係が知られています。

治療は混濁した水晶体を眼内レンズと置き換える手術が行われます。

スポーツと目の怪我の情報発信基地

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スポーツメガネ・サングラスプロショップ

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[最終更新日] 2023年12月18日 /[公開日] 2023年06月17日
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